ニュース
集成材/鋼管柱のハイブリッド耐火柱、一般評定取得で適用範囲拡大:木造/木質化
大成建設は、2018年に開発した集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD TAIKA」の適用範囲を拡大した。
大成建設は2025年6月26日、集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD TAIKA」の部材仕様を拡充し、日本建築センターの一般構造評定と1時間耐火の国土交通大臣認定を取得したと発表した。
T-WOOD TAIKAは、角形鋼管柱の外周を集成材で補剛/被覆した木質ハイブリッド耐火柱。大成建設が2018年に開発し、これまで中層建築物で採用されてきた。今回の一般構造評定取得により、適用物件ごとの個別評定取得が不要になり、通常の建築確認申請の手続きで済むようになる。これにより設計期間の短縮や対象となる建築プロジェクトの拡大が見込まれる。
また、従来は角形鋼管の強度とサイズが、490N/平方ミリメートル級、200ミリ角に限定されていたが、今回の改良により400〜490N/平方ミリメートル級、75〜200ミリ角まで適用範囲が拡大。柱に作用する軸力に応じた合理的な設計が可能となり、建築計画のバリエーションが広がる。
補剛材や燃えしろ層、仕上げ材に使用する集成材についても、現行のヒノキ材に加え、カラマツ材やスギ材などの多様な樹種と強度等級に対応。構成方法も従来の「コの字二丁合せ」に加え「4枚板張合せ」が可能となり、設計デザインの多様性と材料ロス削減が両立できる。
適用範囲拡大後の最初の建築プロジェクトとして、鉄骨造8階建てオフィスビルでの採用が計画されている。大成建設は今後も、T-WOOD TAIKAを多様な用途や規模の建築物に積極的に採用していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
木造/木質化:「やわらかい木」で独創的な意匠と耐震性を両立する木質空間を創出 大成建設が木質網代構法開発
大成建設は、従来の10倍以上の曲率を持つ木質材料「やわらかい木」を建物の構造部材として使用可能な木質網代構法「T-WOOD Goo-nyaize」を開発した。木造化や内装木質化を実現する技術として、規模や構造種別を問わず提案していく。防音:大成建設が木材を利用した遮音間仕切壁を開発、遮音等級「Rr-55」を達成
大成建設は、CLT(直交集成板)などの木質系材料と石こうボードを組み合わせて、高い遮音性能と意匠性を兼ね備えた間仕切壁「T-WOOD Silent Wall」を開発した。T-WOOD Silent Wallは、適用することで、遮音性能に優れた木質仕上げの建築空間を構築し、木材の利活用促進による脱炭素社会の実現に貢献する。また、今回開発した技術の遮音性能は、日本建築総合試験所で空気音遮断性能試験を実施し、有効性を確認した。導入事例:大成建設が高耐久塗料「T-WOOD COAT」を初適用、半年経過後も木材の美観を保持
成建設は、大成ロテックやフェクトとともに、共同で開発した高耐久木材保護塗料「T-WOOD COAT」を、宮城県内の建物に適用し、対象部の経過観察を行った。その結果、T-WOOD COATが、優れた耐久性を備えていることを確認した。製品動向:集成材とPC梁を一体化させた複合梁を開発、梁全体の曲げ耐力が50%程度アップ
大成建設は、集成材とプレストレストコンクリート梁を組み合わせた複合梁「T-WOOD PC-BEAM」を開発した。T-WOOD PC-BEAMは、集成材が型枠と化粧仕上げ材の各機能を兼ね備えており、梁の工場製作時に型枠材などの廃棄物発生を抑制できることから、環境負荷低減にも役立つ。製品動向:大成建設が高耐久木材保護塗料を開発、紫外線への耐久性は従来品と比べ約3倍
大成建設は、大成ロテックやフェクトと共同で、紫外線に対して高い耐久性を持つ無機系材料を使用することで、従来の有機系材料だけで構成されている塗料に比べ、紫外線への耐久性を2〜3倍に向上させられる高耐久木材保護塗料「T-WOOD COAT」を開発した。今後、3社は、今回の塗料を高品質な外装木材保護塗料として、木材を使用する学校や庁舎などの公共建築物をはじめ、オフィスビルや店舗の新築とリニューアルに幅広く展開し、低炭素社会の実現に向け木材利用の促進を支援する。耐震:集成材・CLTと鋼板を組み合わせた意匠性に優れる耐震構法、米原市庁舎に適用
大成建設は、集成材やCLTなどの木質系材料と鋼板を組み合わせた新たな耐震構法「T-WOOD BRACE」を開発した。