京王電鉄、2025年度の鉄道事業で総額434億円 新宿駅や京王多摩川駅を改良:2025年度建設計画
京王電鉄は、2025年度の鉄道事業に総額434億円を投資する。新宿駅や京王多摩川駅の改良工事に着手する他、笹塚駅〜仙川駅間で7.2キロの高架化と25カ所の踏切廃止を目的に、用地取得と仮線準備工や高架橋を構築する。
京王電鉄は2025年5月12日、2025年度の鉄道事業設備投資で総額434億円を計上すると発表した。2030年度までの中期経営計画「HIRAKU2030」に基づき、ホームドア整備や自動運転設備の導入、新型車両の投入、駅改良や開発プロジェクト、大規模災害に備えた耐震補強や豪雨対策などを進める。
笹塚駅〜仙川駅間を高架化、新宿駅は地下2階ホームを延伸
2025年度の主な取り組みでは、京王線「笹塚」駅〜「仙川」駅間の連続立体交差事業を進める。区間の約7.2キロを高架化するとともに踏切25カ所の廃止で、交通渋滞の解消と安全性の確保、鉄道で分断していた地域の一体化が図れる。
新宿駅では、地下2階ホームを東京メトロ丸ノ内線側へ延伸し、改札口も新設。新宿駅西口地下広場での乗り換え時間の短縮などを目指す。2031年度の工事完了に向け、2025年度は既設躯体の解体工事を進める。
京王多摩川駅でも、駅前周辺の開発事業に合わせ、エレベーター大型化や旅客トイレ改修、ホームドア整備やホームと車両床面の段差隙間の縮小など、バリアフリー機能を強化する。
ホームドアの整備は、井の頭線は2020年代中頃〜2027年度、京王線は2030年代前半に全駅で整備する。2025年度は、永福町駅や高井戸駅など計8駅でホームドア設置やホームと車両との段差、隙間対策を実施する。
踏切の安全確保では、井の頭線明大前2号踏切道、西永福3号踏切道、東松原4号/5号踏切道、下北沢1号踏切道で、障害物検知装置やAI監視カメラを設置し、踏切事故を未然に防止する。
災害対策では、高架橋や盛土区間、電線を支持しているコンクリート柱を地震に強い鋼管柱に更新する。集中豪雨/局地的大雨による土砂崩れのリスクに備え、線路脇法面の植栽を一部撤去し、法面の防護工事に引き続き取り組む。
新型通勤車両「2000系」の営業運転を開始
自動運転では、井の頭線で2025年3月から実証試験を開始した。2025年度は、車両と地上設備の導入、改修を進める。
車両関係では、京王電鉄初となる大型フリースペースを設置した新型通勤車両「2000系」2編成を導入。既存の「9000系」も2編成をリニューアルし、全車両にフリースペースを設け、全体の色調を落ち着いた色に統一。
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