暑熱対策AIカメラを海外建設現場で検証、国内向けに高リスク者のチャット通知機能も開発:安全衛生
安藤ハザマとポーラメディカルは、暑熱対策AIカメラ「カオカラ」を使用した海外建設現場での実証試験と、国内建設現場での全社導入を開始した。熱中症の高リスク判定をリアルタイムで管理者に伝えるチャット通知機能も開発した。
安藤ハザマとポーラメディカルは2025年7月1日、暑熱対策AIカメラ「カオカラ」について、ラオスとネパールの建設現場で実証を行うとともに、国内現場で全社導入したと発表した。また、安藤ハザマの社内標準ビジネスチャットツール「direct」との連携によるリアルタイムのチャット通知機能を開発した。
カオカラはカメラに顔をかざすことで、顔色や表情、発汗などをAIが解析し、外気温や湿度などの環境データと統合して体調変化の兆候を知らせるタブレット型AI機器。2024年には国内数百の建設/土木現場などで使用され、約40万件の顔画像データに基づく判定アルゴリズムの改良を重ねてきた。一方で、AI判定における人種的バイアスや汎用性に対する課題があった。
ラオスやネパールでは、高温多湿や高地などの厳しい気候条件に加え、多様な人種の作業員が建設作業に従事している。現地での検証を通じて、暑熱対策の向上と、多様な国での活用を前提としたグローバル展開に向けた機能強化を図るとしている。
また、国内建設現場向けに、directとの連携によるリアルタイムのチャット通知機能を開発した。カオカラによる4段階のリスク判定のうち、高リスク(オレンジ、赤)と診断された場合に、作業員の顔画像と高リスク判定通知がdirectのグループチャットに自動で送信される。現場管理者が即座に状況を把握し、水分/塩分補給や休憩指示などの初動対応を迅速に行うことが可能になる。情報が複数の管理者間で共有されるため、情報の属人化や対応遅れを防ぎ、チームとしての安全管理体制の強化につながる。
今回の実証を通じて得られる知見を基に、両社はカオカラの機能改善と暑熱対策支援のグローバル化を推進する方針だ。多業種への展開や業務アプリケーションとの連携、AIの精度向上にも継続的に取り組むとしている。
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