BIM/CIM活用で土木工事の積算効率化、日本の産学官チームがopenBIM Awardsでインフラ設計部門最優秀賞:BIM
BIM活用に関する国際組織buildingSMART Internationalが主催する国際賞「openBIM Awards 2025」のインフラ設計部門で、日本の産学官チームが部門最優秀賞を受賞した。
国土交通省は2025年10月1日、BIM活用に関する国際組織buildingSMART International(bSI)が主催する国際賞「openBIM Awards 2025」のインフラ設計部門で、日本の産学官チームが部門最優秀賞を受賞したと発表した。国交省直轄の土木事業におけるBIM/CIMを活用した積算の効率化/省人化を実現するデータ連携の取り組みが評価された。
受賞チームは、国土交通省、国土技術政策総合研究所、日本建設情報総合センター、buildingSMART Japan(bSJ)、ONESTRUCTION、東京都市大学の6者で構成。2025年9月22〜24日に開催されたbSI主催の「buildingSMART Internationalサミット」で授賞式が行われ、日本初の部門最優秀賞となった。
openBIM Awardsは、bSIが2014年から毎年開催する国際表彰制度で、ソフトウェアに依存しないBIMデータの相互運用(openBIM)に関する取り組みを対象に、9部門で優れた事例を表彰する。部門には「Design for Buildings(建築設計)」「Construction for Infrastructure(インフラ施工)」などがある。
bSIはBIMの国際標準「IFC(Industry Foundation Classes)」の策定の他、IFCモデルで参照する用語のライブラリを利用するためのWEBサービス「bSDD(buildingSMART Data Dictionary)」の提供などを行う非営利団体。39の国/地域に支部を持ち、bSJはその日本支部。
設計-積算自動データ連携システムを開発
受賞対象の「openBIMを用いた設計から数量算出までの自動データ連携システムの開発」は、3D CADで作成したモデルデータ(IFC形式)から積算システムに必要な数量情報を半自動的に変換/連携できる仕組みを開発したもの。
設計者は構造物モデルを作成する際に、3D形状のオブジェクト分類とモデルから計測した数量などを属性情報として設定してIFCファイルを出力。システムがIDS(Information Delivery Specification)の設定に従い、IFCファイルのオブジェクト分類を検索して、対応する工事工種体系コードと関連する規格を属性情報として自動設定する。設計者の入力作業を削減してミスを防止し、橋梁(きょうりょう)下部モデル作成時間を従来の100分から40分に短縮した。一般公開されたプログラム仕様に準拠したデータ連携の仕組みのため、積算以外にも応用可能だ。
国土交通省では、2024年度に橋梁下部工を対象とする全国11件の試行を実施し、2025年度は砂防堰堤などへの対象拡大を予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
BIM:建築設計クラウドにボリューム生成や条例検索絞り込み機能を追加
AMDlabは、建築設計クラウド「DDDDbox」に、ボリューム検討に関する新機能と条例検索の絞り込み機能を追加した。設計初期に条例などを含む敷地情報をもとに「鳥かご」を生成し、その内部にどのくらいの規模が可能かを検討する「ボリューム」の複数案を自動生成する。BIM:杉孝の「足場BIM」支援サービスが需要増、BIMサポーターを現場に派遣
杉孝は、「足場BIM」を現場で活用してもらうための支援サービスを提供している。2025年上半期には、サービス採用件数が同期比121%に到達し、足場BIMの需要が高まっているという。デジタルツイン:飛島建設と応用技術が「サイバー建設現場」開発 BIM/CIMモデルで工事現場を再現
飛島建設と応用技術は、4D対応のBIM/CIMモデルを用いたデジタルツインプラットフォーム「サイバー建設現場」を開発した。“土木×AI”で起きる建設現場のパラダイムシフト(34):八潮の道路陥没事故はAI活用で防げたか? “予防保全”を実現する土木学会の最新研究【土木×AI第34回】
八潮市で起きた事故を筆頭に、全国で道路陥没が多発しています。国交省ではインフラの維持管理に対し、従来の不具合が起きた後に対処する“事後保全”から、事前の定期点検や修繕で長寿命化を図る“予防保全”への転換を進めています。そこで今回は、道路陥没を未然に防ぐ予防保全を可能にするAIの最新研究を紹介します。建設DX研究所と探る「建設DX最前線」(3):労働人口の減少が迫る建設業界で広がる映像DX【セーフィー解説】
建設DXの推進を目的に建設テック企業が中心となり、2023年1月に発足した任意団体「建設DX研究所」。本連載では、建設DX研究所のメンバー各社が取り組む、建設DXの事例や技術開発について詳しく解説していきます。今回は、セーフィーが提供する映像による建設DXについて紹介します。ドローン:小型ドローンとレーザースキャナー併用、既存設備をデジタル化 狭小空間の3Dモデリング技術確立
三機工業はグループ会社と共同で、小型ドローンとレーザースキャナーを併用した狭小/閉鎖空間での既存設備の3Dモデリング手法を確立した。