埋立処分するだけだった不燃壁面材を100%リサイクル 「Rニース」が対応エリア拡大:新建材
丹青社は、セメント原料に再利用できる不燃壁面材「Rニース」のリサイクル対応エリアを関西圏にも拡大した。併せて従来のビス留めだけでなく、接着剤でも施工できるように仕様変更した。
丹青社は2025年9月24日、不燃壁面材(化粧けい酸カルシウム板)「Rニース」の中間処理施設や再資源化施設を開発し、これまでのリサイクル対応エリアに関西を中心とした2府8県を追加したと発表した。また、さらなる活用を促進するために、従来のビスでの施工に加え、接着剤でも可能な仕様に変更する。
新たなリサイクル運用は、ともにプロジェクトを進めたアイカ工業が2025年10月1日から開始する。
リサイクル対応エリアが1都2府20県に拡大
丹青社は、厨房のある飲食店づくりには欠かせない一方、リサイクルがされていなかった「不燃壁面材」に着目し、Rニースを企画/立案して建材の原料から見直し、製造会社で開発した。
従来、飲食店などの厨房に採用される不燃材は、使われている白系顔料の成分がリサイクルの障害となり、埋め立て処理されていた。機能内装材としての考え方を見直し、顔料を省きながらも機能性能として十分な商品の企画開発を進め、製造会社、中間処理施設、再資源化施設と協力し、使用後にセメント原料の一部として活用する新たなスキームを確立した。
発売時点では1都12県での産業廃棄物収集だったが、より広域での環境負荷の低減を推し進めるべく、中間処理施設と再資源化施設を新規開発し、関西エリアでも100%マテリアルリサイクルが可能なフローを構築した。
従来Rニースは、下地スタッドに一層貼り施工、直接ビス止めで仕上げが完了となり、現場での工数を削減する。今回、店舗の設計・施工を手掛ける丹青社ならではの視点で、意匠の選択肢を広げることができるように、接着剤での施工も可能な仕様にも変更した。 現場での省施工を進めることで、付帯工事や運搬などの削減につながり、CO2の発生を抑制。従来必要とされていた資材や工数が不要になる分、昨今の材料費高騰の負担が軽減し、職人不足の課題解消にもつながる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
サーキュラーエコノミー:大林組が大阪・関西万博パナソニック「ノモの国」の設備機器/建材約180点を技術研究所でリユース
大林組は、大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオンで使用中の設備機器や建材約30品目180点を、閉幕後に大林組技術研究所で建設中の実験棟で再利用する。調査レポート:建設業の価格転嫁率41.0% 全体は39.4%に低下、調査開始以来最低に
帝国データバンクによれば、コスト上昇分を販売価格にどの程度反映できているかを示す価格転嫁率が、2025年7月末時点で39.4%となり、調査開始以来最低を記録した。建設関連では建設業の41.0%や建材卸売の53.2%などが全体平均を上回った。サーキュラーエコノミー:建物解体で出る鉛含有塗料/石綿付き金属を無害化 鹿島建設と共英製鋼が再資源化モデル構築
鹿島建設と共英製鋼は、建物の解体工事に伴い発生する鉛含有塗料や石綿などの有害物質が付着した金属廃棄物を無害化/再資源化する取り組みを始める。建設産業構造の大転換と現場BIM〜脇役たちからの挑戦状〜(10):BIMが一過性のブームで終わらないために Vol.2 発注者はBIMをどう捉えているか?【現場BIM第10回】
連載第8回では「空虚化する“フロントローディング”の根本原因」というテーマで、「BIM活用の本当の受益者は誰か」の問いかけから発注者(施主/オーナー)の責務や役割についてスポットライトを当ててみた。今回は、野原グループが2025年5月に発表した発注者(施主/オーナー)に対する調査結果などを引用しながら、現状認識の深掘りと理想論ではない実現可能解について考えていきたい。積算/見積:建材流通事業者向け「JUCORE 見積」に簡易モードと書式カスタマイズの新機能、住友林業
住友林業は、建材流通事業者向けソフトウェア「JUCORE 見積」に、簡単に見積を作成できる機能とフォーマットをカスタマイズできる機能を追加した。施工:ガラスと木枠を組み合わせた伝統木造建築向けの耐震補強技術を開発、竹中工務店
竹中工務店と奈良県地域創造部文化財保存事務所は、透明なガラスと木枠を組み合わせた伝統木造建築向けの耐震補強技術「ガラス耐震壁」を開発した。