「建設業の労働時間、10年で年132時間減」働きやすさを6つの指標で独自調査:建設業の人材動向レポート(60)(2/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は建設業の「働きやすさ」について、6つの指標で分析する。
■有給休暇取得率と男性の育児休業取得率は大幅上昇も、調査産業計を下回る
厚生労働省「就労条件総合調査」で年次有給休暇の取得率をみると、建設業は2024年に60.7%となり、2014年の40.3%から20.4ポイント上昇した(図表3)。調査産業計との差も、8.5ポイントから4.6ポイントに縮小している。
厚生労働省「雇用均等基本調査」で男性の育児休業取得率をみると、建設業では2022年度の15.49%から2023年度には調査産業計(30.1%)とほぼ同じ水準となる29.7%となった。2024年度には35.5%へと大幅に上昇したが、調査産業計を5.0ポイント下回っている(図表4)。育児/介護休業法の改正も後押しとなり、建設業での男性の育児休業取得率は増加しているものの、他産業との差を埋めるためには、さらなる取り組みが求められる。
■変形労働時間制適用の労働者割合は45.8%、調査産業計との差は縮小傾向
続いて厚生労働省「就労条件総合調査」で、柔軟な働き方に関連する指標の1つ変形労働時間制では、建設業の適用労働者の割合は2024年に45.8%だった。2014年の38.6%から7.2ポイント増え、調査産業計との差は直近10年間で10.0ポイントから6.5ポイントに縮小している(図表5)。
■テレワーク導入率は54.2%、調査産業計を上回る
総務省の「通信利用動向調査」でテレワーク導入率を調べると、建設業では2014年の9.9%から2024年には54.2%へと大幅に拡大。調査産業計の47.3%を6.9ポイントも上回っている。従来、現場作業が多く導入は部分的であるとされてきた建設業でも、テレワーク導入が積極的に進んでいることが判明した(図表6)。
著者Profile
ヒューマンリソシア
ヒューマンリソシアでは、建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析に関する独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信も行っている。
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