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「建設業の完成工事高は10年間で23.5%増も、就業者数は30万人減」2024年の建設市場と人材動向【独自分析】建設業の人材動向レポート(59)(1/2 ページ)

本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、2024年の建設市場と建設人材の動向について、各種データをもとに分析した。

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 建設市場では、建設ニーズは堅調である一方で、人材確保難による建設工事の停滞などが顕在化している。今回はこのような建設市場について、2024年の建設市場と建設人材の動向を分析した。本レポートでは、国土交通省の「建設総合統計」「建設工事受注動態調査」、総務省「労働力調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の最新データを使用している。

■本レポートの要旨

・2024年の完成工事高は58兆7232億円、直近の10年間で23.5%増加

・手持ち工事高、受注高ともに高水準で、今後も建設市場は堅調に推移すると予測

・建設業就業者数は直近10年間で30万人減少(5.9%減)し、建設技術者と技能工の有効求人倍率は高止まり。人材確保は厳しさが増し、人手不足が建設市場の足かせに

・人手不足が建設市場成長の足かせにならないように、将来を見据えた人材確保戦略を早急に実行することが重要

■完成工事高は58兆7232億円となり、直近の10年間で23.5%増加

 国土交通省の「建設総合統計」で完成工事高の推移をみると、2024年には58兆7232億円となり、10年前の2014年よりも23.5%増となった。一見順調に拡大しているかにみえる建設市場だが、増加率の推移は、民間工事が大幅増だった2022年は前年比9.3%増だが、2023年は同2.6%増、2024年は同0.1%増となり、増加の勢いは鈍っている(図表1)。

図表1 完成工事高の推移
図表1 完成工事高の推移 出典:国土交通省「建設総合統計」よりヒューマンリソシアが作成

■手持ち工事高は豊富で、2025年も建設市場は堅調に推移

 手持ち工事高の推移を国交省の同じデータ「建設総合統計」で調べると、2024年1月から2025年3月まで15カ月連続で前年同月を上回っており、2025年3月時点で45兆1672億円と、前年同月を9.9%上回る高水準となっている(図表2)。

 なお、2025年3月時点で民間受注の手持ち工事高は23兆8324億円で、前年同月を12.7%上回っている。そのため、民間受注の工事を中心とした豊富な手持ち工事量を背景に、建設業の市場環境は2025年も堅調に推移すると考えられる。

図表2 手持ち工事高の推移
図表2 手持ち工事高の推移 出典:国土交通省「建設総合統計」よりヒューマンリソシアが作成

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