建設業で広がるシニア人材の活用「65歳以上は16.8%、全産業中4番目」【独自調査】:建設業の人材動向レポート(55)(1/2 ページ)
本連載では、総合人材サービス会社で建設業向けの人材サービスを展開するヒューマンリソシアが、独自に調査した建設業における人材動向を定期レポートとしてお届けする。建設業従事者の人材動向に関する実態を解明し、建設業各社の採用・定着に向けた戦略を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。今回は、経験豊富なシニア人材の活用について建設業界の動向を探った。
少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する日本の労働市場で、経験豊富なシニア人材活用の重要度が増している。今回は、人材不足が厳しい建設業におけるシニア人材の動向について、各種の公的統計を用いて紹介する。
■本レポートの要旨
・建設業では、就業者の16.8%を65歳以上が占めており、他の産業分野と比較し、シニア人材が多く活躍している
・70歳までの就業確保措置を実施している企業の割合では、建設業が全産業分野の中で最も高い
・建設業で働く60歳以上の就業者は、他の産業分野と比較し離職率が最も低く、また給与は10年前と比較し大きく増加している
■建設業で65歳以上の就業者割合は16.8%、全産業平均を3.3ポイント上回る
総務省の「労働力調査」で65歳以上の就業者が占める割合の推移をみると、全産業平均では2003年の7.6%から2023年には13.5%にまで上昇しており、就業者の高齢化が急速に進んでいることが分かる(図表1)。
同じく「労働力調査」から2023年の65歳以上の就業者が占める割合は産業分野別で、「不動産、物品賃貸業」(26.6%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(22.7%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(19.6%)の順で、シニア人材活用が多い。建設業は4番目に高い16.8%で、全産業平均を3.3ポイント上回っている(図表2)。
■建設業は70歳までの就業確保措置を実施している企業の割合が最も高い
令和3(2021)年4月に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の一部が改正され、70歳までの就業機会の確保のために措置を実施することが努力義務とされた。そこで、厚生労働省が令和5(2023)年に公表した「高齢者の雇用状況報告書」をもとに高齢者の雇用に関する企業の取り組み状況を調べると、70歳までの就業確保措置を実施している企業は、全産業平均で29.7%だった。建設業はこれを大幅に上回る40.6%で、主要産業分野の中で最も高い結果となった。このことから建設業では。高齢者雇用に積極的に取り組んでいることが分かる(図表3)。
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