国交省直轄工事で低炭素コンクリ導入が拡大、17道府県で1.1万m2:脱炭素
国土交通省は直轄工事でCO2削減効果のある「低炭素型コンクリート」の試行工事を実施。2024年末時点で全国17道府県51件(約1万1000立方メートル)の工事に導入するなど、広い地域に普及していることが分かった。
国土交通省は2025年3月14日、CO2削減効果のある「低炭素型コンクリート」を、2024年末時点で全国17道府県51件(約1万1000立方メートル)の直轄工事に導入したと発表した。
51件中49件がプレキャスト製品、2件が現場打ちコンクリートで、材料面では50件が高炉スラグ微粉末置換、1件が高炉スラグ微粉末とフライアッシュの混合置換だった。試行実績のほとんどが高炉スラグ微粉末置換のプレキャスト製品となった。また、約半数は、CO2排出削減に要する費用が市場価格以下(1トン3000円未満)だった。
一度整備されると長期間にわたり供用されるインフラ分野では、ライフサイクル全体の観点から、省CO2建材の活用など建設施工段階での脱炭素化の取り組みが求められる。国交省発注工事では、全国的に低炭素型コンクリートの活用を進めている。
低炭素型コンクリートは、ポルトランドセメントの置換率が55%以上、または同等以上のCO2排出削減効果のあるコンクリートの呼称。セメントの55%を置換すると、製造時のCO2の排出量が約50%削減される。
国交省は、2021年策定の「国土交通省環境行動計画」や2023年に閣議決定した「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」などに基づき、現場導入が可能な技術から低炭素型コンクリートを試行的に活用。
これまで、岐阜県で大林・大本・市川JVが施工する「令和2(2020)年度 新丸山ダム本体建設第1期工事」(3036立方メートル)、秋田県で鹿島・前田・竹中JVが施工する「成瀬ダム堤体打設工事(第2期)」(1526立方メートル)などで利用されている。
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