冷蔵倉庫の外装と断熱層を一体化、断熱パネル外壁「ファサモ」を開発 戸田建設:新工法
戸田建設、青和、サドルの3社は、低層冷蔵倉庫向けの断熱パネル外壁を共同開発した。多重構造が一般的だった冷蔵倉庫の外壁を一体化させ、工期短縮と庫内の収容効率向上を図る。
戸田建設は2025年8月21日、青和、サドルと共同で、2階建以下の準耐火建築物の低層冷蔵倉庫に対応した断熱パネル外壁「ファサモ」を開発したと発表した。従来は多重構造だった冷蔵倉庫の外壁を一体化し、工期短縮と庫内収容効率向上に貢献する。
冷蔵倉庫の外壁は一般的にコンクリートや穴あきPC板などに断熱材と外装を重ねるケースが多い。2層以上の構成となるため多くの工種、工程が必要となる他、断熱層貫通部の結露リスクなどの課題もあった。
ファサモは断熱パネルのみで構成され、外装と断熱の機能を有する。芯材はポリイソシアヌレートフォーム(熱伝導率0.022W/mK)、面材は両面カラー鋼板、標準寸法200(厚さ)×約5000(幅)×860(働き高さ)ミリ。断熱層貫通部が少なく、壁内での結露発生リスクや熱損失を低減する。外装と断熱層の一体化により、総厚は薄くなり、一般的な仕様以上の収容効率向上が図れる。
工種/工程が減少することで、1割程度の省人化/工期圧縮に加え、建設コストも従来の同等以下に削減できる。従来の鋼板(高炉製)に比べ、CO2排出量が少ない電炉材の表面鋼板でのパネル製作も可能だ。
第三者機関による実大性能試験では、気密性、耐風圧性、水密性および層間変位追従性を確認。さらに、戸田建設技術研究所敷地内にファサモを用いたモックアップ建物を建設し、マイナス25度温度帯の冷蔵倉庫に求められる断熱性能を満たすことも確認した。
戸田建設は今後、ファサモの大型物件への展開を目指し、改良を進めていく。
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