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清水建設が特許技術200件超を社外に開放、低額で利用可能に 建設技術の相互利用促進:産業動向
清水建設は、自社が保有する建設関連の特許技術200件超を社外に開放し、低額の実施許諾料で利用できる取り組みを開始した。
清水建設は2025年8月1日、自社が保有する建設関連の特許技術200件超を社外に開放し、低額の実施許諾料で利用できる取り組みを開始した。特許の相互利用を建設業界に促すことで、重複投資の抑制や効率的な技術開発を図り、建設産業全体の技術力向上につなげるねらいだ。
開放特許技術は、8月1日からコーポレートサイト上で公開した。ライセンスの利用が想定される事業形態別に分類し、それぞれの特許項目や実施許諾条件(年間実施料)などをの条件を明示している。
清水建設は現在、2000件超の特許を保有しており、今後は開放対象の拡大を進め、最終的には半数近くの特許を開放する予定だ。
今回開放した特許には、OAフロアの床面から室内へ給気する「オフィス向け床吹き出し空調」(年間50万円)、敷地に余裕がない現場でも床版や天井の地組/搬出を可能にする「フロアーユニット先組み・揚重装置」(同)などが含まれる。なお、許諾を得ずに無断使用した場合は、最低でも許諾条件記載金額の10倍を請求する方針も示している。
建設業界では受注競争戦略の一環として各社が独自に技術開発に注力しており、同種の技術開発に対して重複した投資行が行われることもある。清水建設は、特許技術の相互利用が広がることで、不必要な技術開発投資の抑制につながり、業界全体で限られた開発リソースをより有効活用できるとしている。特許技術の開放を進めることで、建設業全体の技術の底上げと、同業による技術相互利用の促進を目指す。
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