“苔や藻類で土砂崩れを防ぐ”技術がNETIS選定、日本工営:スマートメンテナンス
日本工営が開発した藻類で土砂流出を防ぐ特許技術が、NETISの2025年度推奨技術に選定された。土壌藻類資材を散布して、地表面にシート状の土壌微生物コロニー「BSC」を形成し、植生を促す。
ID&Eホールディングス傘下の日本工営は、藻類を活用して土壌表面の侵食を防止し、草木の植生遷移を促す技術「BSC工法」が、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS:New Technology Information System)で「令和7(2025)年度推奨技術」に選定されたと2025年4月24日に発表した(NETIS登録番号:OK-170002-VR)。
土壌藻類資材を散布し、地表面に土壌微生物コロニーを形成
BSC工法は、豪雨災害で崩落した斜面や浸食に対し、生態系の保全に配慮しつつ、通常数年かかる初期の植生遷移をおおむね2週間から1カ月の短期間で形成させる技術。日本工営と国立研究開発法人の土木研究所が共同で2009年に特許を取得している。
BSC(Biological Soil Crust)とは、糸状菌類、土壌藻類、地衣類、苔などが地表面の土粒子や土塊を絡めて形成するシート状の土壌微生物コロニーで、植生遷移の初期に見られる自然現象。BSCが形成されることで土壌侵食を防止し、植生遷移が進む。
BSC工法はこうした特性に着目し、土壌藻類資材(BSC-1)を散布して地表面にBSCを形成し、植生遷移を促進させる。
土壌藻類を土木資材として活用する例はこれまでなく、地域生態系に配慮しながらさまざまな場所に適用が可能で、容易かつ安価に実施できる汎用性などが高く評価され、今回の推奨技術に選定された。
NETISは、国交省が新技術の活用の目的で、新技術に関わる情報の共有や提供を目的として整備したデータベースシステム。登録した新技術の中から、外部有識者の審査を経て、公共工事などに関する技術の水準を一層高めると評価された画期的な新技術が推奨技術に選定される。選定されると、公共工事で施工者の総合評価方式や工事成績評定の加点、NETIS掲載期間の延長などのインセンティブが付与される。
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