熱中症対策で矢作建設工業がファンジャケット刷新、ハーネスを上から着る新仕様に:熱中症対策
矢作建設工業は、熱中症対策の義務化に対応すべく、ファンジャケットとフルハーネスをリニューアルした。夏場にフルハーネス着脱の煩雑さを解消するため、軽量化するとともに、エアパッド付きファンジャケットの上から着用できる仕様に変更した。
矢作建設工業は2025年7月17日、近年の気温上昇で過酷さを増す建設現場で、現場職員の就業環境改善を目的に、オリジナルのエアパッド付ファンジャケット(空調作業服)の開発とフルハーネスの軽量化も図ったと発表した。
ファンジャケットの上からフルハーネスを着用する仕様に変更
近年、夏場の気温上昇は建設現場にとって深刻な課題となっており、熱中症リスクの増大に対する更なる対策が急務となっていた。
また、建設現場では、高所作業時は安全のためフルハーネスの着用が義務付けられている。しかし、従来のフルハーネスはファンジャケットの中に着用する必要があり、休憩時などの着脱が煩雑で作業員の負担となっていた。
そこで今回、軽量なフルハーネスを採用するとともに、ユニフォーム制作会社と共同で、既製品ではないオリジナルのファンジャケットを開発。現場職員の身体的負担軽減と快適性向上を実現した。
新しいファンジャケットは、フルハーネスを上から着用する仕様に変更し、着脱の簡素化を実現した。肩部分にはエアパッドを設け、フルハーネスとの摩擦を軽減しつつ、良好な風通しを確保して快適性を確保した。
背中の部分には保冷剤を入れ、冷たい空気や水蒸気を首元に送ることで、効果的に体温の上昇を抑える。新旧比較をしたところ、新型着用時の方が首元の温度が2〜3℃低い結果となった。
フルハーネス自体も、従来の約2.8キロから約2キロへと約30%軽量化。女性やシニア社員を含む、現場職員の身体的負担を減らすとともに、業務効率化と働きやすさの向上にもつながる。
矢作建設工業では今回の取り組みを、2025年6月に施行した罰則付き熱中症対策の義務化に対応する施策と位置付けている。これまでにも熱中症対策では2021年にオリジナルハーフパンツを導入し、2024年にはヘルメットの約20%軽量化などに取り組んできた。今後も、現場職員の就労環境改善と熱中症対策の強化に努めていく方針を示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
安全衛生:AIが転倒を即時検知、セキュアが熱中症対策ソリューションを発売
セキュアは、AI映像解析による「転倒検知システム」を活用した熱中症対策ソリューションの提供を開始した。熱中症対策:作業者の猛暑リスクを可視化するミツフジのウェアラブルデバイスに「SORACOM」採用
ミツフジが提供する作業現場向けウェアラブルデバイス「hamon band」シリーズの新モデル「hamon band N」に、ソラコムのIoTプラットフォーム「SORACOM」が採用された。SORACOMのeSIMを搭載し、セルラー通信が可能で、作業者本人だけでなく現場管理者にも、クラウド経由で猛暑リスクを通知できるようになった。熱中症対策:現場ビジネスチャット専用の熱中症予防チェックボットを開発、L is B
L is Bは、現場向けビジネスチャット「direct」専用の「熱中症予防チェックボット」を開発した。現場労働者の体調管理を支援し、猛暑による熱中症を予防する。安全衛生:建設現場に仮設全館空調、完成建物のダクト活用で熱中症対策 大林組
大林組は、施工済みダクトに大型仮設空調機を接続する仮設空調システムを構築し、都内でのオフィスビル建設現場に初適用した。熱中症対策:エアコン休憩BOXを施工現場に導入 積水ハウスの「現場クールプロジェクト」第一弾
積水ハウスは、建設現場の熱中症リスク軽減を目的に、屋外作業者用の冷房機能付き休憩施設「ひんやりBOX」を導入する。水捨てが要らないノンドレン方式の「ウインドエアコン」を用い、既にパイロット運用を開始している。安全衛生:熱中症リスクを管理者に可視化、通信機能付きウェアラブル機器を導入 西松建設
西松建設は2025年6月から、Biodata Bankと共同開発した通信機能付きの熱中症対策ウェアラブルデバイス「Sigfoxカナリア」を全国の自社建設現場へ導入した。