統合業務システム「WIZDOM」に安全日誌を連携、東洋建設:現場管理
東洋建設はBREXA Technologyと共同開発した「統合業務システムWIZDOM」に安全日誌を連携させた。データ連携を通じた現場業務のデジタル化により生産性向上を図る。
東洋建設は2025年7月1日、「統合業務システムWIZDOM」に安全日誌を連携させた。ソフトの連携活用やペーパーレス化、CO2排出量や波高収集などのデータ連携を通じた現場業務のデジタル化を推進し、生産性向上を図る。
WIZDOMは東洋建設とBREXA Technologyが共同で、帳票一元化から提出管理、閉所管理、データ登録保存、資格管理などを統合した工事管理システムとして構築した。2024年度は工事システムに営業システムや検索システムを連携させ、公告から工事竣工までを一元管理できる統合業務システムに改良した。
今回追加した安全日誌機能では、PCの他、全職員に配布している業務用iPhone/iPadから日誌の入力が可能。協力会社や人員、使用機械、作業内容などを直感的に入力できる。また、安全日誌に必要なサインもデジタル化し、ペーパーレスを実現する。協力会社はDMZ(非武装地帯)経由でアクセス可能だ。入力データはクラウド上に自動保存し、データ連携を通じた業務効率化を図る。
システムには、安全日誌に入力した機械情報を基に、CO2排出量を自動算出する機能を搭載。総合技術研究所で収集している波高データや施工実績などのデータとも連携し、各種集計業務を省力化する。
労働災害事例検索システム「K-SAFE 東洋 RAG適用Version」や「東洋安全ChatGPT」などの社内ツールも利用できる。さらに、図研プリサイトのナレッジマネジメントシステム「Knowledge Explorer」を搭載し、WIZDOMに保存されている全国の工事データやクラウドサーバ内に格納しているファイルを、ファイル名が分からなくても横断検索できるようになった。
今回の連携は、土木/建築の各部門やコーポレート部門、安全環境部、総合技術研究所など社内の複数部門が参画し、BREXA Techとともにアジャイル開発により進められた。各部門の業務特性に応じた入力フォームの設計や、従来の書式との整合性を維持したPDF出力機能など、現場職員の運用に配慮した設計となっている。東洋建設は今後もWIZDOMの活用を通じて、全社的なデジタル基盤の強化と業務効率化を進める方針だ。
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