大成建設が高耐久塗料「T-WOOD COAT」を初適用、半年経過後も木材の美観を保持:導入事例
成建設は、大成ロテックやフェクトとともに、共同で開発した高耐久木材保護塗料「T-WOOD COAT」を、宮城県内の建物に適用し、対象部の経過観察を行った。その結果、T-WOOD COATが、優れた耐久性を備えていることを確認した。
大成建設は、大成ロテックやフェクトとともに、共同で開発した高耐久木材保護塗料「T-WOOD COAT」を、東京エレクトロン宮城が宮城県黒川郡で保有する本社工場敷地内に新設した「宮城技術革新センター」に2021年9月に初適用しことを2022年3月11日に発表した。
4人の作業員で4日の期間をかけて施工が完了
国内では、政府が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、脱炭素社会の実現に向け、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収して炭素として貯蔵する木材の利用が進められている。
とくに、建物に用いる木質材料は、木の風合いなどが意匠的にも注目され、内外装への利用拡大が見込まれている。しかし、建物の外装材として木材を使用する場合、紫外線による劣化を抑制するため、これまで木材保護塗料を使用していたが、塗料の耐久性などが課題となっていた。
そこで、大成建設は、大成ロテック、フェクトの3社は、耐久性が高く木材本来の風合いを生かせ、美観の長期的な保護を可能とする木材保護塗料のT-WOOD COATを2021年に開発した。その後、東京エレクトロン宮城が本社工場敷地内に新設した「宮城技術革新センター」に設けた大屋根軒天の外装木材に初適用した。
大屋根軒天の外装木材にT-WOOD COATを導入した結果、従来の木材保護塗料と同様のローラー塗りと刷毛塗りで、これまでと同様に4人の作業員で4日の期間をかけて施工が完了。さらに、乾燥時間が短く(夏期は1〜2時間、冬期は5〜6時間)、施工日に重ね塗りができるため、塗料の乾燥を左右する天候条件の影響を減らせた。
加えて、今回の塗料はクリヤ色で、地域産杉材(南三陸杉)の色味や木目の美観性をそのまま生かす仕様となっており、対象分に塗布し半年経過後も施工当初の状態で意匠性を保っている。また、屋外暴露試験の結果、未塗装の外装材と比べ、T-WOOD COATを塗装した部分は、半年経過後も竣工直後の状態を維持し、高い耐久性を備えていることが分かった。
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