ダイキン、CO2見える化サービスの「アスエネ」に出資 空調の脱炭素化を一気通貫で提供:産業動向
ダイキン工業は、CO2排出量を見える化するクラウドサービスを展開するアスエネへ出資する。アスエネのサービスとダイキンの省エネ性の高い空調機器やエネルギーマネジメントシステムなどを組み合わせ、空調を中心とした建物の脱炭素ソリューションを日本と北米を中心に提供する。
ダイキン工業は2025年6月12日、CO2排出量の見える化や脱炭素/ESG経営支援サービスを提供するスタートアップ企業「アスエネ」の第三者割当増資を引き受け、出資することを発表した。
気候変動対策がグローバルで加速する中、企業の非財務情報の開示に関する規制が強化されていることに加え、投資家や消費者のESGへの関心の高まりを受け、企業はサプライチェーン全体のCO2排出量を見える化し、削減に取り組むことが求められている。
アスエネは2019年の創業で、複雑なCO2算出業務をサポートするCO2排出量見える化/削減/報告クラウドサービス「ASUENE」やサプライチェーンのESG評価サービス「ASUENE ESG」などを提供。非財務情報の開示や脱炭素の取り組み、ESG経営に必要となる包括的なサービスと専門コンサルティングを国内外で展開している。
ダイキンは戦略経営計画「FUSION25」の成長戦略テーマの1つで、「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げている。その中で、世界の電力の約1割を消費しているとされる空調に起因する環境負荷の低減が重要と考え、高効率で省エネ性の高い空調機器を世界中に供給している。
今回の出資と協業を通じ、CO2排出量の見える化による現状把握から排出量削減のためのロードマップ策定、高効率な空調機器やエネルギーマネジメントシステムの導入などの省エネ施策の実行まで、一気通貫で実施することが可能になる。さらに、空調や建物の運用を継続的にモニタリングし、改善提案を行うなどライフサイクルを通じた循環型ソリューションを提供して、企業の脱炭素化に対する取り組みに貢献していく。
ダイキンは、新たな技術開発や高度なソリューション提供のため、2019年11月にスタートアップ企業との協業を推進する組織「テクノロジー・イノベーションセンター CVC室」を設立し、これまで国内外の20社以上に出資をしている。
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