防災力と回遊性をリアルタイムデータで強化 竹芝地区スマートシティープロジェクト:スマートシティー
東急不動産と竹芝エリアマネジメント、ソフトバンクが共同で推進する東京都港区竹芝地区のスマートシティープロジェクトで、リアルタイムデータを活用した防災力強化と回遊性向上の取り組みを本格展開する。
東急不動産は2025年5月26日、竹芝エリアマネジメント、ソフトバンクと推進する東京都港区竹芝地区のスマートシティープロジェクトにおいて、リアルタイムデータを活用した防災力強化と回遊性向上の取り組みを本格展開すると発表した。
来街者向けには防災情報のリアルタイム提供機能や、天候/交通状況に応じた電子クーポンを配布。さらに、ビジネス来街者向けに宿泊施設やワークスペースなどの情報を確認できるデジタルマップを、地域関係者向けに街データ可視化システムを実装した。
災害情報をリアルタイム配信
竹芝地区は、オフィスや商業施設、MICE(ビジネスイベント)施設、学校などが立地する昼間人口が多いエリアで、災害発生時には約4万7000人の帰宅困難者が発生するとの予測もある。
そこで竹芝公式LINEを活用し、防災情報について、平常時には利用者が自ら取得する「プル型」で、災害発災時には地震や大雨/台風などの種別に応じた注意喚起などを自動的に配信する「プッシュ型」で提供する仕組みを構築した。また、発災時にはエリア内の歩行者デッキや建物内に設置された複数のサイネージを連携させて、一時滞在施設の開設情報などを配信する。
エリア内の回遊性向上へ行動変容促す
竹芝地区は三方を海に囲まれ、歩行者の流入動線が限られるという課題がある。一方でオフィスやホテル、商業施設などの集客施設、ホールや劇場などの目的性の高い施設も所在する。そこで、エリア内での回遊性向上を目的に、来街者向にリアルタイムデータを活用した電子クーポンを配信するなど、行動変容を促す取り組みを実施する。
TFHD digitalが提供するデジタルエリアマネジメントサービス「Machi-wai(マチワイ)」とデータ流通プラットフォーム「Smart City Platform」を連動させ、天候や交通情報などのリアルタイムデータをもとに来街者に電子クーポンを配信する「リアルタイムインセンティブ配信システム」を実装。電車運休時や悪天候時などに、東京ポートシティ竹芝の店舗などで使える電子クーポンを、街区内の来街者に向けて配信する。2024年度は合計約4500人にクーポンを配信。利用者の7割以上が配信後1時間以内に利用したという。東急不動産らは、利用者の行動データを分析しながら、インセンティブの内容やトリガーとなるリアルタイムデータなどの組み合わせを検討していく。
ビジネス施策では、竹芝公式LINEのタウンポータルの機能拡張やMICE向けにインタラクティブマップを開発した。
さらに、竹芝公式LINEに大丸有地区など周辺地域のイベント情報や島しょ部への定期船の運航状況などを集約。周辺エリアも含めた相互的な回遊性向上を図る。
また、竹芝地区に関する人流データやイベント情報、ハザードマップなどのデータを統合し、地域関係者などが街全体の状況を視覚的に把握できるシステムを構築した。ソフトバンクの携帯電話基地局の仕組みを利用した人流統計サービス「全国うごき統計」のデータや街区カメラから取得したデータなどを活用し、街の課題発見やイベントの効果測定、街の魅力の発信などに活用する。
竹芝エリアマネジメントの公式LINEアカウントの登録者数は、2025年5月時点で約2万8000人まで拡大している。東急不動産らは今後も、各機能の改善や拡充を継続的に行うとともに、竹芝地区だけでなく同様の課題を持つ他の地域に対して、防災力の強化や回遊性の向上に寄与する施策を推進していく。
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