バックホウ作業中の構造物への接触/衝突防止システムを開発、鹿島建設:現場管理
鹿島建設は、鉄道やトンネル工事など狭い施工現場でのバックホウ作業中に、重機の接触や衝突による既設構造物などの損壊を回避する衝突防止システムを開発した。
鹿島建設は2025年5月22日、鉄道やトンネル工事など狭い施工現場でのバックホウ作業中に、重機の接触や衝突による既設構造物などの損壊を回避する衝突防止システムを開発したと発表した。新システムは鉄道工事とトンネル工事に導入し、作業中の安全性向上につながることを確認した。
新システムは、バックホウに取り付けた2D LiDARセンサーで切梁や電線ケーブルなどの既設物の接近を検知し、事前に設定した範囲内に検知対象が入ると、バックホウを強制的に自動停止させる。また、キャビン内のモニターと警告ランプが作動して、ブザー音でオペレータに警告を発する。検知範囲は施工条件に応じて任意に設定可能だ。
構成機器は2D LiDARセンサー2台、バックホウのブーム/アーム位置と機体傾斜を検知する傾斜センサー3台、検知範囲設定と物体を検知したことを認識するコンピュータ1台など。
新システムは、横浜高速鉄道発注の「みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事)」と、西武鉄道の「新宿線中井〜野方駅間連続立体交差事業に伴う土木工事第1工区(その24)」に適用。バックホウ上方の既設物への接触と衝突防止を目的に、一般的な中型サイズ(0.25/0.45立方メートル級)に装着して使用した。
導入の結果、地下掘削作業やトンネル工事での土砂積込み作業中の既設構造物との接触防止効果が確認された。オペレーターが目視で把握できない高さの既設物や、損傷が許されない構造物への接触を防止した他、経験の浅いオペレーターへの操作支援にも役立てられた。
鹿島建設は今後、同種工事で新システムを長期に適用し、システムの耐久性を検証するとともに、センサーの検知精度の向上も図る。今後、全国の土木/建築工事への展開を目指すとした。
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