工事現場の仮設エレベーター、上下位置を高精度に把握 NEC通信システムなどが開発:現場管理
MetComとNEC通信システム、鹿島建設グループのOne Teamは共同で、工事現場で使用される仮設エレベーターの高精度な位置把握を目指す実証を行った。MetComの垂直測位サービス「Pinnacle」と、NEC通信システムのリアルタイム位置推定アルゴリズムを組み合わせ、仮設EVに小型測位端末を後付けすることで、ビーコン方式と比較して約2割多くエレベーターの停止を検知できた。
3D測位サービスを提供するMetComとNEC通信システムは2024年7月24日、鹿島建設グループのOne Teamと共同で、工事現場で使用される仮設エレベーター(仮設EV)の位置把握に関する実証を行ったと発表した。
MetComの3D測位サービス「MBS」の垂直測位サービス「Pinnacle」と、NEC通信システムのリアルタイム位置推定アルゴリズムを組み合わせ、仮設EVに小型測位端末を後付けすることで、仮設EVの上下位置を、高精度に特定できることを確認した。
今回開発した技術は、新たな位置把握ソリューションとして、建設現場でのリアルタイム位置測位や仮設EVの上下位置把握などに広く展開する。さらに、仮設EVの積載能力や運搬する人員、資機材の量などを把握/追跡する技術と組み合わせることで、揚重計画の精緻化と最適化を支援していく。これらの取り組みにより、建設現場の生産性向上を実現する「建設物流のDX」を目指す。
実証では、加速度センサーを使用してエレベーターの稼働状況を把握し、リアルタイムで測位する独自方式の「MBSトラッカー」を仮設EVに設置した。仮設EVの位置が変化した際に測位データを取得し、分析を行った結果、稼働状況を詳細に把握可能であることが分かった。MBSトラッカーとの通信方法は、短期検証での扱いやすさを重視してLTEモバイルルーターを利用している。
また、MBSトラッカー方式と従来のビーコン方式の階数の推定結果を比較検証したところ、MBSトラッカー方式の方がより正確に短時間の停止階を把握でき、約20%多く仮設EVの停止を検知できたことが分かった。直接比較ができた残り80%のデータを分析すると、約95〜97%の精度で階数推定結果が一致し、不一致データは全て1階数分の差だった。データをさらに高さ変化の観点で分析したところ、仮設EVでの揚重荷役作業時に床面以外の高さで手動停止させた場合、従来のビーコンと階数判定のしきい値が異なるため、差異が生じているとの考察が得られた。
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