施工管理にブロックチェーン活用 フジタ、ICT土工で現場試行:i-Construction 2.0
フジタは、中国地方整備局発注の「玉島笠岡道路浜中地区中工区改良工事」で、重機搭載レーザー計測と共通データ環境「R-CDE」をAPI連携したICT土工システムを現場試行した。施工データをクラウドに自動送信し、監督員が遠隔で出来形確認を行える。ブロックチェーンによる改ざん防止機能も備える。
フジタは2025年5月9日、国土交通省中国地方整備局発注の「玉島笠岡道路浜中地区中工区改良工事」で、ICT土工の施工管理データを直接クラウドに送信し、監督員が遠隔で確認可能なシステムの現場試行を行い、効果を検証したと発表した。
試行したシステムは、フジタがICT土工向けに開発した重機搭載レーザー計測システムと、東京大学大学院工学系研究科に設置された「i-Constructionシステム学寄付講座」協調領域検討会の施工ワーキンググループが開発した共通データ環境「R-CDE」をAPI連携で統合したもの。
このシステムでは、重機にレーザースキャナーを搭載して3D計測を行い、施工中に出来形管理を実施する。計測データは重機から直接R-CDEへ送信されるため、従来の出来形計測作業を省略できる。ブロックチェーン機能を備えた共通データ環境により、保存されるデータの真正性が保証され、改ざんを防止した形で施工管理データを一元管理する。関係者は常時共通データにアクセス可能で、監督員は臨場することなく出来形データを確認できる。この仕組みにより、監督や検査に伴う業務や帳票作業の効率化につながる。
現場試行の結果、ICT土工における出来形の段階確認を、従来の実地/書面による方法に代えて、R-CDE上で行えることを実証した。
2025年2月27日には、試行現場で発注者向けの現場説明会を開催した。中国地方整備局、岡山国道事務所、福山河川国道事務所から約40人が参加。説明会では「重機搭載レーザー計測システムと共通データ基盤の連携」について、概要説明と実機デモを実施した。
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