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BIM×FMを実現する統合FMプラットフォーム「FM-Integration」の実力と実例BIM×FMで本格化する建設生産プロセス変革(7)(3/3 ページ)

本連載では、FMとデジタル情報に軸足を置き、建物/施設の運営や維持管理分野でのデジタル情報の活用について、JFMAの「BIM・FM研究部会」に所属する部会員が交代で執筆していく。今回は、FMシステムが統合FMプラットフォームで実現するBIM×FMと具体例を紹介する。

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2.BIM連携機能

 BIMモデルには、設計・施工フェーズで蓄積された膨大な情報が含まれています。この情報を維持保全フェーズで有効活用するのが統合FMプラットフォームのBIM連携機能です。

 BIMモデル内のオブジェクトに含まれる設備機器や仕上材の仕様、製品番号、サイズなどのプロパティー情報を活用し、施設管理業務を効率化します。

FM-IntegrationのBIMモデル表示
FM-IntegrationのBIMモデル表示 筆者提供

 具体的には、下記のような管理が可能になります。

  • 点検履歴の管理:BIMモデル上で機器の点検履歴を確認
  • 修繕計画の策定:オブジェクトの数量・仕様を基に修繕計画を作成
  • 設備の可視化:BIM上で設備機器の接続状態や設置場所を確認

3.長期修繕計画機能

 BIMデータを活用し、長期修繕計画をシミュレーションする機能も重要です。例えば、設備機器の交換や仕上材の補修/更新にかかるコストを予測し、将来的な修繕計画を立案することが可能です。

長期修繕計画のシミュレーションイメージ
長期修繕計画のシミュレーションイメージ 筆者提供

 シミュレーションには、公益社団法人の「ロングライフビル推進協会(BELCA)」が発刊する『建築物のライフサイクルマネジメント用データ集 改訂版』を活用することができます。データ集を用いることで、国内建設事情に即した長期修繕計画を立案できます。

BIM×FMの実例紹介

 ■建設系(施設オーナー、設計事務所、建設会社)

 建設業界では、BIM×FMを活用した施設管理の成功事例が増えています。本連載の「BIM×FMで本格化する建設生産プロセス変革(3)」で、日建設計の光田氏が紹介した「ミュージアムタワー京橋」のプロジェクトでは、BIMモデルの属性情報を統合FMプラットフォームに登録し、WebブラウザでBIM×FMソリューションを実現しました。日本ファシリティマネジメント協会(JFMA)が主催する「日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)」の第19回技術賞を受賞しています。

 ■インフラ系(多階層管理・多拠点管理)

 インフラ業界では、全国に点在する施設の維持管理が課題となっています。統合FMプラットフォームを導入することで、地域>部門>建物>階>部屋という階層構造で情報を一元管理できるようになり、設備のリコール時のスピーディーな対応や拠点間の管理が容易になります。

 また、重要施設にはBIMモデルを導入し、維持管理の効率化を図るケースも増えています。

 ■総務系(機器/契約管理)

 企業の総務部門でも、統合FMプラットフォームが活用されています。例えば、OA機器や車両、自動販売機などの管理対象と、それに付随する契約情報を一元管理することで、業務の効率化が可能になります。さらに、BIMモデルと連携することで、設置場所の可視化や契約更新の管理もスムーズに行えます。

まとめ

 統合FMプラットフォームのFM-Integrationは、BIM×FMを活用し、施設管理業務のDXを支援します。多くの業界で導入され、業務効率化やコスト削減に貢献しています。今後も、さらなる活用が期待されるソリューションといえるでしょう。

著者Profile

石曽根 栄之/Hideyuki Ishisone

FMシステム FMソリューション部 部長。

建築ITをさまざまな角度から支援するFMシステムで、主にファシリティマネジメントの運用支援に携わる。これまで、建設業、金融業、不動産業、自治体、大学などの施設情報管理支援を手掛けてきた。JFMAの「BIM・FM研究部会」では、これまで研究部会で発刊した全ての書籍の執筆にも関わる。

一級建築士、認定ファシリティマネジャー、インテリアプランナー。

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