建物の利用状況に連動したエネルギー効率を把握、新省エネ支援システムを開発 関電不動産開発:FM
関電不動産開発とアイテック阪急阪神は、複数の建物のエネルギー使用量を遠隔で取得し、建物ごとのエネルギー効率を自動分析する「省エネルギ支援システム」を開発した。建物の利用状況に連動したエネルギー効率を把握できる新たな分析指標「T-PUE」を活用し、より効果的な建物の改修/改善につなげる。
関電不動産開発は2024年12月23日、アイテック阪急阪神と共同で、複数の建物のエネルギー使用量を遠隔で取得し、建物ごとのエネルギー効率を自動分析する「省エネルギ支援システム」を開発し、特許を取得したと発表した。新システムでは、建物の利用状況に連動したエネルギー効率を把握できる新たな分析指標「T-PUE」を活用することで、より効果的な建物の改修/改善につなげる。
建物の改修を検討する場合、まず建物ごとにエネルギー効率を相対比較し、エネルギー効率の低い建物を特定する。従来は、エネルギー消費原単位(年間エネルギー使用量をエネルギー使用量と密接な関係を持つ延床面積などの値で割った数値)を指標として分析や相対比較を行ってきたが、この指標は稼働率/利用人員数/利用時間など建物の利用状況に連動しておらず、建物本来のエネルギー効率を正確に把握できないケースがあった。
そこで、関電不動産開発とアイテック阪急阪神は、データセンターでサーバ機器の利用状況に連動して建物のエネルギー効率を算出できる指標「PUE」に着目し、建物全体のエネルギー使用効率を示す新指標T-PUEを考案した。PUE同様、利用状況によって数値が大きく変動することなく、建物本来のエネルギー効率を正確に把握できる。T-PUEの値が小さいほどエネルギー効率が高い建物として評価する。
省エネルギ支援システムでは、年間/夏季/冬季の3種類のT-PUEによりエネルギー効率を分析。エネルギー使用量が増大する夏と冬のエネルギー効率を把握することで、冷房や暖房などどの機器がエネルギー効率に影響を与えているのか要因が特定しやすくなる。
新システムはデータセンターに限らず、オフィスビルや商業施設、物流施設といった多様な建物に対応する。関電不動産開発は既に、保有する複数のオフィスビルに新システムを導入しており、今後は分析結果をもとに改修/改善を進め、システムの導入拡大を目指す。
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