建設機械にも“環境配慮”の波 静かでパワフルな最新GX建機の“試乗会”に潜入:GX建機(3/3 ページ)
国交省は電動建機の普及を図るべく、GX(グリーントランスフォーメーション)建機の認定制度を2023年にスタート。経産省も2030年までにミニショベルで10%、油圧ショベルで5%の電動化率を目指す導入シナリオを設定した。GX建機の需要が高まる中、建機レンタルの西尾レントオールは、建機メーカー各社の電動式油圧ショベルやカスタム開発したタイヤローラなどを一堂に集めた試乗会を開催した。
最新GX建機を試乗!
ここからは、今回の試乗会で展示した建機や関連機器を紹介する。
スウェーデンを本拠地とするボルボグループの中で、建機を製造するボルボ建設機械の日本法人ボルボ・グループ・ジャパンが販売する「L120 Electric」は、3.5立方メートルのバケットを備える。電動のため、排気ガスを出さずにディーゼル機と同等のパフォーマンスを実現。車体後部に282kWhのバッテリーを積み、5〜10時間稼働する。
「L25 Electric」は電動コンパクトホイールローダ。1立方メートルのバケットを備え、回生ブレーキなどの機構で最大8時間稼働。本体後部にバッテリーを搭載する。
「EC230 Electric」は、日本で最も需要の高い20トンクラスのバッテリー駆動式中型油圧ショベル。バケットの容量は0.9立方メートルで、駆動時間は5時間だが、急速充電オプションで連続作業を実現する。
コマツの電動マイクロショベル「PC05E-1」。単相100Vで充電でき、手軽に使えるミニバックホウ。バケット容量は0.011立方メートル。本体が小さく騒音が少ないので、都市部の狭所での作業に適する。
コマツの「PC30E-6」。三相200Vの急速充電が可能で、バケットサイズは0.08立方メートル。最大1.2トンのクレーン機能も搭載している。
竹内製作所の「TB20e」と「TB35e」。2時間の急速充電に対応したミニバックホウ。1回の充電でTB20eは最大8時間、TB35eは最大4時間動く。バケット容量は、TB20eが0.038立法メートル、TB35eは0.1立法メートル。双方ともNETIS登録済みで、GX建設機械認定も取得している。
ヤンマーグループの一員でスペインHimoinsa(ヒモインサ)製の可搬用発電機「EHR45」。定格出力45kW(最大出力58.5kW)で、単相200V、三相400Vの出力/入力に対応している。系統電力と併用することで電力使用量のピークカットができる。
高所作業車「GS-1932E」は、最大5.85メートルでの作業を可能にする。西尾レントオールが改造し、リチウムバッテリー化で稼働時間が50%アップ。電動走行モーター搭載で、油漏れリスクを軽減している。単相100Vで4時間の急速充電が可能だ。
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