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可搬型バッテリーで電動クレーン運用実証、首都圏の建設現場で 大林組:GX建機
大林組は首都圏の建設現場で、容量85.24キロワット時の可搬型バッテリーを使用した25トン級電動クレーンの運用実証実験を行った。軽油燃料の従来機と比較して年間約32トンのCO2排出削減を見込む。
大林組は2025年4月24日、首都圏の建設現場に可搬型バッテリーを導入し、25トン吊(つ)り電動移動式クレーンの運用実証を行ったと発表した。実証では1日8時間のクレーン作業ができることを確認し、軽油を燃料とする従来機に比べて年間約32トンのCO2削減効果を見込んでいる。
実証実験は2025年2月12日から3月7日まで実施。POWR2製の可搬型バッテリー「PRO45.90-400」(定格出力36キロワット、電池容量85.24キロワット時)を搬入し、タダノ製25トン級電動移動式クレーン「eGR-250N」への充電、給電方法を検証した。クレーンを充電のたびに移動させる必要がなく、作業休憩時の充電や可搬型バッテリーからの直接給電により、1日8時間の運転を実現した。
可搬式バッテリーは入力電源3相400ボルト/20キロワットで4.25時間で満充電できる。充電は夜間など工事現場の電気使用量が少ない時間帯に行うか、工事現場外の拠点で充電し、容量の少なくなったバッテリーと交換する方式を採用。建設現場の電源設備に左右されない給電体制を構築した。
実証で得られたCO2排出削減効果は、軽油を燃料とする従来機との比較で1台1日当たり約260キロ(年換算32トン)。大林組は敷地内での充電や給電設備の確保が困難な現場に可搬型バッテリーの導入を進め、GX建設機械の普及を促進していく。
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