排出ガス規制に適合したエンジン搭載の60t吊り自走式クレーン、加藤製作所:GX建機
加藤製作所は、最新の欧州排出ガス規制(EU Stage V)に適合した環境配慮の新エンジンを搭載した60トン吊りの自走式クレーンを発売した。価格は8600万円で、年間100台の販売目標を掲げる。
加藤製作所は、環境に配慮した新エンジンを搭載した60トン吊(つ)りラフテレーンクレーン「SL-600RfIII」を2024年4月に発売した。
最新の排出ガス規制(EU Stage V)に適合した新エンジン搭載
SL-600RfIIIは、旧モデルSL-600RfIIの各種性能を継承し、高いクレーン性能とジブ仕様、作業の効率と快適性、安全性向上を実現しながら環境に配慮したラフテレーンクレーンとなる。
スペックの主な特徴では、欧州で移動機械のエンジンに対する新しい排出ガス規制(通称:EU Stage V)に適合したカミンズ製エンジンを採用している。ECOスイッチも装備し、クレーン操作時のエンジン最大回転数を抑え、燃料消費と騒音の少ない最適な作業回転数に調整する。さらにオートミニマムコントロールで、クレーン作業待機時に油圧ポンプ吐出量を最小限に制御して、燃費の効率化につながる。
ブーム吊上げ能力は、最大吊上げ能力は60トン、最大ブーム長さは40メートル、最大作業半径は37メートル、最大地上揚程41.1メートル。ブーム伸縮モードを2種類設定でき、強度域性能に優れるモードAは、2段ブーム伸長で、3、4、5段ブーム伸長。安定域性能に優れるモードBは、3、4、5段ブーム伸長で2段ブーム伸長し、作業状況に合わせて柔軟に対応する。
無線式の吊荷監視カメラは、ブーム先端部やジブ先端部からの電源供給で、バッテリーは必要としない。バッテリーの充電や取り付け作業も不要となる。
環境配慮面ではエンジン以外にも、騒音を相当程度軽減し、国土交通省の「低騒音型建設機械」の指定を取得した。また、オフロード法排出ガス2014年基準に適合するホイールクレーンで、一定の燃費基準を達成した建機を認定する国交省の「2020年燃費基準達成建設機械」も申請している。
安全機能は、超音波センサーによる障害物の検知機能で、走行中の安全性向上に寄与する。安全用カメラ3台を装着し、人検知時、視覚、聴覚の警告で注意を喚起する。
操縦席のモニターは12.1インチ縦型で、キャリヤの前後左右に装着した6つのカメラの画像を合成した車両上面から俯瞰した画像も含め、オペレーターが任意に設定した複数の画像を表示できる。タッチパネルのアイコンも大きく表示し、視認性や操作性に優れる。
SL-600RfIIIの標準小売価格は、8600万円(税別、販売価格は装備などで異なる)。加藤製作所は年間100台の販売目標を掲げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ICT建機:ICT建機の導入コストを抑えるマシンガイダンス「入門版」、住友建機が提案へ
住友建機は、「第6回 建設・測量生産性向上展」で、自動化や遠隔操作、安全性/生産性の向上などをテーマとしたさまざまな建設機械に関連する新技術を出展した。日本道路と共同開発した「HA60W自動走行/自動伸縮システム」のデモンストレーションや、従来よりも低コストで導入できる入門版の新マシンガイダンスシステムなどを紹介した。 - 第6回 建設・測量生産性向上展:中国建機メーカー「柳工」が日本進出 環境負荷ゼロのBEV建機で運用コストも削減
中国の建設機械メーカー「柳工(LiuGong)」は、「第6回 建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」に初出展し、100%電気で稼働するBEV建機で日本市場への進出を表明した。 - 脱炭素:GX建機と充電設備の購入に補助金、申請受付を開始 建機は差額の2/3、充電設備は半額
国土交通省の認定を受けた電動建機(GX建設機械)と、その充電設備の購入費用に関する補助金の申請受付が始まった。電動建機は標準的燃費水準車両との差額の3分の2、充電設備は本体価格の2分の1の補助が受けられる。 - スマートコンストラクション:ICT建機用「GNSSスマートアンテナ」を発売、ライカジオシステムズ
ライカジオシステムズは、建機に搭載する用途に合わせて調整可能なGNSSスマートアンテナ「Leica iCON gps 120」を発表した。 - 施工:コベルコ建機のクレーン施工計画ソフト「K-D2 PLANNER」に国内クレーン4社のモデルを標準搭載
コベルコ建機は、クレーン施工計画を時間軸も含む4Dでシミュレーションできる「Revit」アドイン型のシミュレーションソフト「K-D2 PLANNER」に、コベルコ建機とタダノに加え、加藤製作所と住友重機械建機クレーンの2社のモデルを追加した。 - 大手ゼネコンの建設DX戦略:建設業の経営者は何をDXのゴールとすべきか?変革の本質や苦労話をゼネコン4社が徹底討論
東急建設、鴻池組、大林組、西松建設の建設DXで陣頭指揮を執る4人の担当者が、MCデータプラス主催の「建設DXカンファレンス2024」で、「DXを推進した先で何を“成果=ゴール”と考えるか?」をテーマに、経営目線でDX戦略の方向性や現状の課題について熱論を交わした。