3DCGアニメで建設現場の事故を150件以上再現、安全教育用の映像配信サービス:安全衛生
アクトエンジニアリングは、建設現場で起こりうる危険な状況を3DCGアニメーションで再現し、視覚的に学べる安全教育サービス「アクビィ」の提供を開始した。VRのような臨場感で、過去の事故事例やヒヤリハットを150件以上収録し、年間1万円で全コンテンツ見放題となっている。
建設業界に特化した人材派遣/紹介会社のアクトエンジニアリングは2025年4月、建設現場で起こりうる危険な状況を3DCGアニメーションで再現し、視覚的に学べる安全教育サービス「アクビィ(Acvie)」の提供を開始したと発表した。販売価格は6万円だ。
150本以上の建設事故/災害を3DCGアニメ化
アクビィは、これまでDVD教材として提供していた安全教育コンテンツをオンラインの定額見放題型へと切り替えた映像配信サービス。工事現場の労働災害やヒヤリハット事例の瞬間を3DCGで制作し、紙の資料や文章では伝わりづらい危険リスクを視覚的に理解できる。
従来の実写映像では暗転されがちな“事故の瞬間”も、CGで衝撃的な場面を明確に可視化し、現場で働く労働者の安全意識に強く訴えられる。
大手ゼネコンの安全担当者監修の下、150件以上を収録し、1本あたり1〜3分で視聴可能なため、多忙な現場でも朝礼前や昼休みといった隙間時間で効率よく学べる。3DCGアニメーションのため、外国人労働者や新人にも直感的に理解しやすい。事故原因や再発防止策はナレーションで解説し、「なぜ危険なのか」「どうすれば避けられるか」を理解しやすく、教育の定着率を高める。
事故再現映像に加え、労働安全衛生法第59条に基づく「送り出し教育」「雇い入れ時教育」に対応した教材、全国安全週間(6月)や労働衛生週間(10月)などの行事に対応する教育コンテンツも収録している。
価格は年額6万円で、正式リリースを記念して2025年6月30日まで1IDあたり年額1万円(いずれも税込み)の特別価格で提供するキャンペーンも展開。安全対策に多くの費用を割けない企業も多い中、教材制作やテスト機能を省いた分で価格を抑えている。
厚生労働省が公表した令和5(2023)年の労働災害発生状況によると、建設業は他業種に比べて依然として死亡者数が最も多く、安全管理のさらなる強化が求められている。
事故発生時には詳細な報告書の作成が義務付けられているが、現場経験の少ない新人や日本語に不慣れな外国人労働者にとっては理解が難しく、教育の伝達に課題があった。
こうした背景を受け、アクトエンジニアリングは誰にでも伝わる安全教育を目指し、事故や災害の“見える化”を図る3DCGアニメーション映像の開発に至った。
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