新幹線のトラス橋をドローンレベル3.5飛行で点検 スカイピークとJR東海が実証実験:ドローン
スカイピークとJR東海は、東海道新幹線のトラス橋で、ドローンレベル3.5飛行による鉄道設備点検の実証実験を行った。ドローン運航管理システムと経路逸脱検知機能を組み合わせて活用し、列車の安全運行に支障なく十分な距離を保ちながら点検業務を実施できると確認した。また、目視外/自動飛行での遠隔オペレーションなどの管理体制についても検証を行った。
スカイピークとJR東海は2025年4月21日、東海道新幹線のトラス橋(愛知県一宮市〜岐阜県羽島市の区間)で、ドローンレベル3.5飛行による鉄道設備点検の実証実験を行ったと発表した。ドローン運航管理システム(UTM)と経路逸脱検知機能を組み合わせて活用することで、列車の安全運行に必要な離隔を確保しながら点検業務が実施できることを確認した。
JR東海はこれまで、従来の係員による目視点検に加えて橋梁(りょう)などの設備で目視内飛行(レベル1〜2)でドローンを利用してきた。また将来の労働力人口の減少を見据え、目視外飛行(レベル3〜4)導入による業務効率化を検討している。レベル3.5飛行は無人地帯での目視外飛行で、機上カメラの活用と操縦ライセンスの保有、保険加入を条件に、補助者配置や看板設置などの立ち入り管理措置を不要とし、道路や鉄道などの横断をより容易にした飛行方式を指す。
実証は2025年3月24日に実施。イームズロボティクス製「UAV-E6106FLMP2」を使用してレベル3.5飛行で撮影を行い、トラジェクトリー社のUTM「TRJX」による飛行計画管理と経路逸脱検知機能を組み合わせて運用した。列車の安全運行に支障なく、十分な距離を保ちながら点検業務を実施できることが実証された。また目視外/自動飛行での遠隔オペレーションなどの管理体制についても検証を行った。
両社は2024年12月、鉄道施設でのドローン目視外飛行運用の検討に関するコンサルティング契約を締結している。今後も、鉄道設備点検業務の効率化、高度化に向けて検討を進めていく方針を示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
第9回 JAPAN BUILD TOKYO:建設現場とオフィスをつなぐ“架け橋” 建設業の新しい職域「建設ディレクター」とは?
建設業界では、2024年4月に時間外労働の上限規制がスタートすると、働き手不足の危機感が一気に強まった。そこで期待されるのが、ITとコミュニケーションで建設現場とオフィスをつなぐ新しい職域「建設ディレクター」だ。建設DXの推進者として業務効率化を担い、業務プロセスや組織自体を変え、新規採用にもつながり、苦境にあえぐ建設業界で救世主のような存在に成り得るという。スマートメンテナンス:橋梁点検に特化したiPad用記録アプリ、ジャパン・インフラ・ウェイマークが開発中
ジャパン・インフラ・ウェイマークは、橋梁点検に特化したiPad用の記録アプリ「Waymark Note」の開発を進めている。手書きのミスや写真整理の手間、写真整理の煩雑さなどが解決する。現場管理:建機遠隔操作システムを搭載したモビリティーオフィス発売、コマツ
コマツと子会社のEARTHBRAINは、建設機械向け遠隔操作システムを搭載した移動式DX押オフィスを販売している。車両型でさまざまな現場へ迅速に移動でき、快適なモビリティーオフィス内から建設機械を遠隔操作可能。導入事例:平均年収1000万円を目指す焼津の橋本組、現場の若手支援に「GEMBA Talk」活用
静岡県焼津市の橋本組は、MetaMoJiの施工管理アプリ「eYACHO」に新たに追加したビデオ通話機能「GEMBA Talk」を活用している。現場状況を映像と音声で即時に共有でき、遠隔地間の協議や現場の若手社員をサポートするツールとしてノウハウ継承にも役立てている。ドローン:VTOL型ドローンで鉄道設備の被災状況を確認、2025年本格導入へ JR東日本
JR東日本 新潟支社など3社はVTOL型ドローンを活用した鉄道設備確認の実証実験を行い、災害発生時に被災状況を遠隔から迅速に把握できることを確認した。第9回 JAPAN BUILD TOKYO:KDDIスマートドローン、次の一手は“能登半島地震”で活躍した自動充電基地の「遠隔運航」
KDDIスマートドローンは、ドローンサービスの次なる一手として、メーカー各社が機体とセットで提供を始めた自動充電付きの基地「ドローンポート」を活用した“遠隔運航”サービスを展開している。既に実績がある能登半島地震での道路啓発工事を踏まえると、現地への人員配置ゼロの利点で、災害時に被災状況の把握や建設現場の進捗確認などでの需要が見込める。