橋梁点検に特化したiPad用記録アプリ、ジャパン・インフラ・ウェイマークが開発中:スマートメンテナンス
ジャパン・インフラ・ウェイマークは、橋梁点検に特化したiPad用の記録アプリ「Waymark Note」の開発を進めている。手書きのミスや写真整理の手間、写真整理の煩雑さなどが解決する。
ジャパン・インフラ・ウェイマークは、橋梁(きょうりょう)点検などのインフラ点検業務に特化したiPad向け記録アプリ「Waymark Note(ウェイマーク ノート)」のβ版を公開し、現在はトライアルを経て正式版リリースに向けた開発を進めている。
橋梁点検に特化した入力ツール搭載、ワード選択だけで記入は完了
Waymark Noteは点検現場での記録作業の効率化を目的に開発した。紙媒体による記録手法に代わり、デジタル化で手書きによるミスや写真整理の煩雑さが軽減する。ドローンの橋梁点検で多数実績のあるジャパン・インフラ・ウェイマークの社内試用では、作業時間の約30%を削減できたという。
橋梁点検に特化した入力ツールを備えており、登録済みワードを選択するだけで基本的な記入は完了する。文字や線なども自由に配置可能で、記載してからも簡単にレイアウト変更して見やすい野帳を作成できる。
また、PDF形式の損傷図や写真帳を1画面でタブ切り替えできるため、大量の資料データから見たいページを素早く開ける。取り込んだ損傷図や写真帳などの拡大と縮小は、スマートフォンと同じような動きで、図面上の細かい文字や写真帳の損傷状況も拡大して確認できる。
写真整理では、写真番号の自動登録や撮影写真の自動紐(ひも)付け、部材名や損傷の種類など点検用語の選択入力といった機能で、屋外環境でも点検後の内業作業が効率化される。自治体の点検要領については、国土交通省発行の橋梁定期点検要領に基づく、部材名称/損傷名称26種類/健全度などが入力補助機能として辞書機能に登録済み。
現時点での対象端末はiPadとiPad mini(iOS14〜18)で、Apple Pencilにも対応する。
正式版は2025年4月ごろにリリース予定で、β版期間中は橋梁以外にもプラント設備やトンネル、法面の点検、現地踏査記録などへの応用を見込んでおり、フィードバックを受けてアプリ開発に反映する計画だ。
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