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建設用3Dプリンタが「常識」になる時代 国産Polyuseが海外製よりも導入が広がる理由:第9回 JAPAN BUILD TOKYO(3/3 ページ)
国産建設用3Dプリンタで、公共/民間の構造物を全国各地で制作しているベンチャー企業のPolyuse。一般的には、建設用の大型3Dプリンタは海外メーカーが先行しているイメージだが、代表取締役 大岡航氏は「一戸建てがメインで、土木に代表されるシビルエンジニアリング領域では日本がリードしている」と話す。その差別化ポイントを多数の実例を紹介した講演から探った。
可搬性に優れるPolyuseの3Dプリンタ
Polyuseの3Dプリンタは3年ほど前に公共工事にも採用され、その後も実績を重ねている。運搬性や可搬性に優れ、工場内での利用以外にも、工事現場や現場近くに設置して3Dプリンティング可能なメリットがある。大岡氏は、3Dプリンティングの実例として、階段、マンションの外構、公園のインターロッキングと水飲み場などを紹介した。
階段制作では、コンクリート階段を従来工法で作ると、型枠を組むのが大変だった。しかし、3Dプリンタでは型枠が要らない。その結果、工期を7割強短縮した。
東京都の池袋周辺でマンション外構に3Dプリンタを活用した例では、天候などの影響で引き渡し日が迫り、型枠を組んでいたのでは工期が難しくなった。そこで3Dプリンタを用い、解決した。
Polyuseの3Dプリンタは、2022年に建築基準法に準拠した建造物の建設で使われた。建築部材を作成する工程で3Dプリンタを利用したケースで、構造としては鉄骨造となる。大岡氏は、将来は構造部分でも3Dプリンタが使えるように、建築学会や国交省 住宅局などと一緒に協議していく計画を明かした。
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