建設現場の廃プラから万博会場の演台を製作、3Dプリンタ活用 鴻池組:大阪・関西万博
鴻池組とスワニーは、建設現場で発生した廃プラスチックを再資源化した材料を使い、3Dプリンタで製作した演台/司会者台を、大阪・関西万博の「EXPOナショナルデーホール」に納品した。
鴻池組は2025年4月14日、スワニーと共同で、建設現場で発生した廃プラスチックを再資源化した材料を使い、3Dプリンタで製作した演台/司会者台を、大阪・関西万博の小催事場「EXPOナショナルデーホール」に納品したと発表した。
完成品は2025年3月23日の大阪ヘルスケアパビリオン開館式、同27日の警察/消防専門部隊発足式で使用され、万博開催期間中もさまざまな式典やイベントに使われる予定だ。
演台/司会者台は「2025年日本国際博覧会施設整備事業小催事場建設工事」において、備品の1つとして納入した。原料には建設現場で回収したPPバンドを使用。大阪・関西万博の掲げる「建設の過程で発生した廃プラスチックを原料に実用的なものを製作し、撤去工事の際はマテリアルリサイクルの資源循環に戻す」というテーマに沿った取り組みとして博覧会協会に提案し、承諾を得て製作した。
PPバンドは、TBMが再び原料に戻す「リペレット」を担当。スワニーが保有する大型ペレット押出式3Dプリンタで成型した。演台と司会者台には、それぞれ50%以上のリサイクルPPペレットを採用。残りは、強度を確保しながら形状を安定させる機能を持つフィラー材を含むコンポジット材料を使用している。
また、万博の公式ロゴマークとデザインエレメントを取り入れた意匠部は、旭化成の環境配慮型材料「セルロースナノファイバーフィラメント材」を使用して3Dプリンタで出力。演台/司会者台全体を、環境配慮型材料で製作した。
建設現場では資材の梱包材や養生材などから大量に廃プラスチックが発生する。その性質が多岐にわたることからマテリアル(材料)リサイクルが難しく、大部分は焼却時の熱エネルギーを活用する「サーマルリサイクル」が行われている。鴻池組では以前からマテリアルリサイクルに取り組んでおり、今回、3Dプリンタによるプランター製作のノウハウを発展させ、博覧会会場で使用する演台/司会者台の製作に挑戦した。
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