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社会主義国ベトナムの商習慣に適応、強固なサプライチェーンでパナソニックをサポートする福盛社パナソニック電材事業の重要拠点ベトナム視察(2/2 ページ)

福盛社はベトナムでパナソニック電材製品の拡販を担う商社。1994年にパートナーシップを締結し、ベトナムでのパナソニックの成長を支えてきた。社会主義国のベトナムをよく知るパートナーとして、現地法人のパナソニック エレクトリックワークスベトナム(PEWVN)にとってなくてはならない存在となっている。

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ベトナムでの販売チャネルは4つ

 ベトナムでの販売チャネルは、ディーラー、小売店、プロジェクトセールス、オムニチャネルダイレクトの4つに分けられる。

 ディーラーは販売ネットワークを持ち、ベトナム国内全域に製品を供給する。小売店は日本での大型家電量販店にあたる。プロジェクトセールスは建設の各案件やプロジェクトごとに製品を販売する形式だ。そして、オムニチャネルダイレクトは直販を意味する。ちなみに、パナソニックの製品はディーラーとプロジェクトセールスでの販売が多い。

 ユニークなのは、ベトナムの販売チャネルではオンラインとオフラインを分けることをあまりしていないことだ。ベトナムの販売チャネルについて語るnanocoグループ CEO ルーン・リュク・ヴァン氏は、「ディーラーはオフラインで品物を販売するが、オンラインも扱っている。逆にオンラインをメインにするチャネルでも要望があれば、オフラインでにも対応する」と語る。

PEWVNとの関係を語る福盛社(nanocoグループ) CEO ルーン・リュク・ヴァン氏
PEWVNとの関係を語る福盛社(nanocoグループ) CEO ルーン・リュク・ヴァン氏

 ベトナムでも「eコマース」の成長は注目されている。ルーン氏は「2024年の統計では、小売分野の80%ほどが何らかの形でeコマースを取り入れている」と話す。ただ、ベトナムでのEコマースは日本のそれとは異なる。

 日本のeコマースは、完全にインターネット上で品物の売り買いが完結するネットショッピングの販売スタイルだろう。しかし、ベトナムでは小売店が自社で販売サイトを立ち上げ、そこを通じたセールスの意味合いが強いようだ。

 ベトナムでは、eコマースでいきなり大量購入するケースは少ない。利用の際には、まず小売店に足を運び少量の買い物をする。そして、その店が信頼に値すると判断した後に、店の販売サイトで大量購入するステップを踏むのだそうだ。

 日本では顔が見えない相手と取引きするが、ベトナムは対面でのコミュニケーションを尊重する。製品の信頼性を重視するパナソニックや福盛社の思いに通じるものがあるといえるだろう。

ベトナムの電材街を視察。工具から部材までがそろう。ベトナムでは、実際に店を訪れてからEコマースを利用するケースが多いという

信頼関係をベースに、さらなる発展を

 ベトナムでは今後、高速道路がさらに整備される。開通すれば福盛社が運用する21カ所の倉庫からベトナム全土に、トラックで2時間以内の輸送が可能になる。現時点でも“ほぼ1日”でのデリバリーが可能だが、さらに大幅に短縮される。

 流通の強化は輸送時間の短縮以外にも効果をもたらす。ルーン氏は「ライバルとしてはホールセール(卸会社)があるが、ホールセールでは顧客に品物が届くまでにいくつもの下請けを経由する。対して福盛社は自前のネットワークを持ち、直接顧客にアクセスできる」と自社の優位点を強調する。

 福盛社は製品販売後のアフターサービスにも力を入れている。客先に短時間で出向き、直接対面できる流通網があれば、自社の強みを最大限に生かせるようになる。

 ルーン氏は「成功するには単独でやってもなかなかできない。業者やパートナーの協力、国の支援が必要だ。最も協力してもらっているパートナーは、PEWVNの坂部氏。パナソニックとの信頼関係は年々強化されている。これからもパナソニックと互いに協力することで、ベトナム北側にある大国に負けずに発展できると信じている」と意気込みを語った。

パナソニック製品を扱う小売店「Nguyen giang」のグエン・ティ・ニュン(Nguyen Thi Nhung)さん(左)とルーン・リュク・ヴァン氏。Nguyen giangは、パナソニックの製品を年間で約200億VND販売するという
パナソニック製品を扱う小売店「Nguyen giang」のグエン・ティ・ニュン(Nguyen Thi Nhung)さん(左)とルーン・リュク・ヴァン氏。Nguyen giangは、パナソニックの製品を年間で約200億VND販売するという

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