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新築注文住宅で工事中の施工不良50%超え、さくら事務所の検査で判明:産業動向
さくら事務所は2024年1月〜12月、新築注文住宅265件で工事中の第三者住宅診断を実施し、その検査結果を集計したところ、全ての検査項目で不具合指摘率が50%を超えていた。
住宅診断やマンション管理組合向けのコンサルティングを展開するさくら事務所は2024年1〜12月の1年間、265件の新築注文住宅事の工事中ホームインスペクション(第三者検査)を実施し、検査結果を集計したところ、全ての検査項目で不具合指摘率が50%を超えていると分かった。
今回の検査結果では、全ての検査項目で不具合発生率が50%以上と高く、構造(耐震に関わる部分)、防水(雨漏り、劣化リスク)、断熱(省エネ性能に直結)の項目では60%を超える高い指摘率が確認された。いずれも建物の寿命や住環境に影響を及ぼすため、施工会社選びが重要となる。
不具合が発生する要因についてさくら事務所は、職人や現場監督の高齢化や引退による人手不足に伴う検査体制の限界を筆頭に、人工や建材、設備の価格高騰に対して工期短縮によるコスト削減を受けた負荷を挙げる。他にも複雑化する建築技術へのスキルや知識不足、YouTubeやSNSで消費者のリテラシーが向上している一方、業界側の対応の遅れなどもあるという。
そのため、「施工不良の多くは修正可能だが、施工会社によって対応に差がある。問題を未然に防ぐには、工事中の三者チェックが不可欠。不具合が発覚しても“基準内だから問題ない”として、施工会社が応じないケースもあり、住宅購入者が泣き寝入りしないための対策が求められる」と分析する。
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