丹青社と米Autodeskが戦略的提携を更新 BIM全社展開を経て次なるステージへ:産業動向
丹青社と米Autodeskは、2022年に締結した「戦略的提携に関する覚書」を2.0に更新した。丹青社は、これまでにBIMの全部署での展開と実プロジェクトでの導入を進めてきた。新たな提携により、設計と制作のBIM連携を強化し、プロジェクトを横断したBIMデータ活用にも取り組む。
ディスプレイ業大手の丹青社と米Autodeskは2025年3月、BIMデータの活用を目的に、新たな「戦略的提携に関する覚書」(MOU 2.0)を締結したと明らかにした。
サプライチェーンを含めた設計・制作など業務プロセス全体をBIM連携
丹青社によれば、日本国内では空間づくりの需要が堅調で、万博やインバウンドの急回復、都市の再開発など追い風が続いているという。一方、環境への配慮や安全性への要求が高まる中、建築資材の価格高騰や深刻な人手不足といった課題が顕在化しており、生産性の向上や高付加価値サービスの提供がこれまで以上に求められている。
こうした状況下で丹青社は、業務プロセスの変革に取り組み、特にBIMを中心としたデジタル技術の活用に注力。政府も「BIM加速化事業」やBIMによる建築確認申請の導入などで建設業界全体でBIM活用を後押ししている。
丹青社は2022年に国内ディスプレイ業では初めてAutodeskとMOUを締結。内装ディスプレイ業務に適した独自のBIMデータ作成ガイドラインとなる「Tansei BIM Platform」を策定し、BIM活用に向けた全社トレーニングなどを含む利用基盤を整備した。全部署への展開と実プロジェクトへ適用した結果、生産性の向上に加え、従来のワークフローで困難だった複雑な条件下のプロジェクトにも対応できるようになるなど多くの成果を得た。
今回、AutodeskとのMOU 2.0締結により、Tansei BIM Platformの高度化を図り、生産性の向上や顧客への高付加価値の提案を目指す。深刻化する人手不足にも対応し、サプライチェーンの基盤整備の中でBIM活用を軸とした生産体制を確保する。
具体策としてはAutodesk RevitやAutodesk Construction Cloud(ACC)などのAutodeskソリューションを活用し、設計と制作の連携による“フロントローディング”を実現。生産性の向上だけでなく、プロジェクトへの迅速な対応など顧客にプラスアルファの価値を提供する。
また、サプライチェーンの基盤整備にTansei BIM Platformを用い、業務プロセスを効率化。Tansei BIM Platformで整備したBIMデータはACCに集約し、プロジェクト横断でBIMデータ活用を強化する。将来は蓄積されたBIMデータやAIの活用を視野に入れたワークフローの開発にも着手する。
さらに、ジェネレーティブデザインなどBIMを活用した設計自動化の開発など設計手法の高度化にも取り組む。制作業務でもACCの活用や施工現場との連携を図り、BIMデータの活用範囲をさらに広げる。
丹青社 代表取締役社長 小林統氏は「AutodeskとのMOU 1.0締結から3年が経ち、丹青社はBIM活用の基盤整備を着実に進め、多くの成果を得ることができた。外部環境的にも、国土交通省からBIMによる建築確認申請の方針が発表されるなどBIM化が加速している。丹青社はBIM活用で大きな一歩を踏み出したが、新たな価値の創出や業務プロセスの改革には、より高度な活用やサプライチェーンへの拡大が不可欠。実現のためにAutodeskとの強固な協力体制を継続し、最先端のテクノロジーや新しい価値観を積極的に取り入れながら、“こころを動かす空間づくりのプロフェッショナル”としてさらなる進化に挑む」と今後の期待感をコメントしている。
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