コクヨが既存ビルの再生収益化プロジェクト開始 蔵前の8階建てビル取得:リノベ
コクヨは不動産の企画からリノベーション、運営までを自社で手掛ける既存ビルの再生収益化プロジェクトを開始した。
コクヨは2025年3月26日、不動産の企画からリノベーション、運営までを自社で手掛ける既存ビルの再生収益化プロジェクトを開始し、第1号案件として、東京都台東区蔵前にある一棟空きビルを取得したと発表した。
取得物件は1998年5月に竣工したRC造地上8階建てのビルで、敷地面積は425.81平方メートル、延べ床面積は2222.51平方メートル(いずれも公簿面積)。取得日は2025年3月14日。
蔵前は、東京都心東部の隅田川沿いに位置し、近年はものづくり系のショップや飲食店の進出が相次ぐ他、訪日外国人旅行者の滞在も多いエリアとして注目されている。地域特徴を生かし、働く場としても魅力的ある空間を創出することで、エリアの価値向上に寄与する施設を目指す。
コクヨは2025年度を初年度とする第4次中期経営計画「Unite for Growth 2027」で、ファニチャー事業の拡充を掲げている。これまでオフィス家具や内装設計を中心に空間価値の提供を行ってきたが、新たにアセットバリューアップ推進室を設置し、空室率の高まりが懸念される既存中小オフィスビルや、新築建設費高騰により注目される既存建物のバリューアップニーズに対応していく。
2024年10月にはビル一棟まるごとリノベサービスを開始
コクヨは、メンバー制ワークラウンジ「Creative Lounge MOV」や、生活実験型集合住宅「THE CAMPUS FLATS TOGOSHI」、東京品川オフィスなど、自社施設の空間バリューアップを通じて、独自の知見やノウハウを獲得してきた。2024年10月には、築後数十年が経過した中小規模の自社ビルを対象とした「自社ビル一棟まるごとリノベーションサービス」の提供も開始している。
今後は既存事業に加え、投資目線の不動産企画や建築リノベーションによる再生計画、施設オープン後の運営モデル構築など請負、マスターリース、取得といった方法により空間のバリューアップ実現を目指す。
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