既存住宅の断熱リノベーション新仕様、「外壁TR」で断熱等級6相当を実現 積水化学工業:リノベ
積水化学工業は、鉄骨系住宅「セキスイハイム」の既存住宅を対象に、断熱等級6相当まで対応可能な断熱リノベーションの新仕様「外壁TR」を発売する。
積水化学工業 住宅カンパニーは2025年1月31日、鉄骨系住宅「セキスイハイム」の既存住宅を対象とした断熱リノベーション「あったかハイム TR」の新仕様として、外壁の断熱性能を向上する「外壁TR」を発売する。既存住宅に導入することで、2022年に新設された断熱等級6を標準相当の性能へ進化させる。
ZEH水準を上回る等級6相当の断熱性能を実現
積水化学工業は、省エネ地域区分5〜7地域で展開する平屋/2階建ての新築戸建商品で、断熱等級6を標準仕様としている。一方、既存住宅向けには、2023年にZEH水準の断熱等級5相当が実現できる断熱リノベーション「あったかハイムTR」を発売し、居住者の快適性や省エネ性の向上に取り組んできた。
外壁TRは、壁内に断熱材を充填する「充填断熱工法」の既存外壁を二重壁化し、屋外側に断熱材を付加する外張り断熱リフォーム工法。75ミリ厚の断熱材の追加設置により、外壁部の熱の伝わりやすさを施工前の約1/3に軽減する。
モデルプランを使った試算では、外壁TRと窓や屋根、床などの断熱改修をパッケージしたあったかハイムTRの実施により、断熱性能は等級6相当まで向上(外皮平均熱貫流率を示すUA値が1.41から0.42に改善)し、適切な空調機器を併用した場合には洗面室19度、ホール18度と、LDKとの温度差が約4度以内に収まる結果が得られた。光熱費削減効果は年間約7.8万円、CO2排出量は年間1.4トン削減できる見込みだ。
これまでの外壁の断熱改修は壁を取り壊して断熱材を交換補充する方法が主流で、居住者には家具や荷物の移動/片付け、仮住まいなどの負担があった。外壁TRは、建物外周に面した既存外壁の上から断熱材を増し張りするため、内壁の撤去などが不要で自宅に居ながら外壁の断熱性を向上できる。施工期間は従来工法から約37%削減し、居住者だけでなく近隣のストレス軽減、職人不足や働き方改革にも貢献する。
表面の仕上げ材は、高耐久のフッ素塗装仕様のガルバリウム鋼板(金属サイディング)で、メンテナンスコストを抑えながら、新築と遜色ない美観を実現。新築や建て替えをすることなく住み継いでゆける住宅の提供を目指す。
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