“サウナと水風呂”で次の100年を拓く 前田建設 ICI総合センターの意義(前編):建設業の未来を創る技術拠点(1)(5/5 ページ)
人手不足や建設費高騰、脱炭素化への対応など、建設業界はかつてない変革期にある。各社は自社の強みをどう磨き、どのような未来像を描いているのか。答えの一端が技術開発拠点にある。シリーズ「建設業の未来を創る技術拠点」第1回目は、前田建設工業の技術研究所「ICI総合センター」を取材。前編ではセンターの全体像を紹介し、後編ではセンターの役割や具体的な研究内容について紹介する。
廃校活用のモデルケースに
ICIキャンプは、2016年に廃校となった取手市の「白山西小学校」を活用した研修施設だ。取り壊す財源もなく活用方法が未定の廃校は全国で1000を超える。ICIキャンプでは、社会問題化している廃校活用のモデルケースを確立を目指す。
廃校活用にあたっては、校舎3棟のうち、耐震性が低かった1棟を解体。さらに、研修室、食堂、厨房の機能を備える「木のえんがわ」を新設した。木のえんがわの屋根は特徴的なV型で15メートルのロングスパン。厚さ50ミリのLVL(単板積層材)と150ミリの鉄骨を組み合わせる「1%の架構体」で実現している。15メートルのスパンに対し、鉄骨だけの場合は梁せい(梁の高さ)は700ミリ程度とスパンの約20分の1を要するが、LVLを組み合わせることで100分の1(1%)とした。
校舎には最大200人規模まで受け入れ可能な宿泊施設を整備した。西校舎3階には、建築資材にスポットを当てた飲食スペース「資材Bar」も運営し、研修所の利用者や、来客とのコミュニケーションの場として機能している。
ICIキャンプ
設計・監理:前田建設工業一級建築士事務所、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO(マウントフジアーキテクツスタジオ)
施工:前田建設工業 関東支店
構造:既存校舎はRC造、新築部分の躯体はS造(屋根は鉄骨と木(LVL)のハイブリッド構造)
規模:既存校舎 地上4階建て、新築部分 地上2階建て
敷地面積:2万5522平方メートル
延べ床面積:5212平方メートル
後編へ続く。
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