住友林業が「住友活機園」を5月30〜31日に特別公開、国重文指定の和洋邸宅:イベント
住友林業は2025年5月30〜31日の2日間、住友の基礎を築いた第二代総理事の伊庭貞剛翁が建設した滋賀県大津市の重要文化財「住友活機園」を特別公開する。
住友林業は2025年5月30〜31日の2日間、滋賀県大津市にある国の重要文化財「住友活機園」を特別公開する。
近代住友の基礎を築いた第二代総理事の伊庭翁が1904年に建設
住友活機園は風光明媚な大津市の瀬田川のほとり、琵琶湖に程近い小高い丘の上にあり、洋館、和館など6棟の建物と茶室、四阿(あずまや)などの付属施設と庭園で構成されている。
明治期に住友銀行(現在の三井住友銀行)や住友伸銅場(金属、電工、軽金属の前身)、住友倉庫、別子鉱業所山林課/土木課(林業、建設の前身)などを設立した第二代総理事の伊庭貞剛翁が、明治37(1904)年に引退する際、隠棲の住まいとして建設。住友活機園の活機は、禅宗の思想で「俗世を離れながらも人情の機微に通じる」という意味で伊庭翁自身が名付けた。
設計は、多くの洋館設計を手がけた建築家の野口孫市が手掛け、19世紀末から20世紀初頭にかけて欧州を中心に開花した芸術運動「アール・ヌーヴォー」を採用。また、階段の勾配、敷居の高さ、サンルームなどバリアフリーも先取り。建築時には、名棟梁の八木甚兵衛が優秀な大工や職人の匠の技と精選した良材を用い、木造軸組構造とし、120年間持ちこたえている。
重要文化財の指定に含まれる敷地内の庭園は、門から続く苔の美しいアプローチ、新緑、夏の勢いある緑、見事な枝ぶりの紅葉と杉木立、四季の風情と季節の移ろいを感じられる。
伊庭翁没後は子孫が旧住友本社に寄付し、戦前/戦後にわたって住友グループが維持管理をしている。洋館と和館の意匠の完成度が高いこと、居宅の他に付属施設なども状態良く保存され、明治後期の大邸宅の姿を今に伝えていることが高い評価を受け、2002年5月23日に文部科学大臣から重要文化財の指定となった。
洋館は木造桟瓦葺の2階建て、建築面積110平方メートル。和館は木造桟瓦/銅板葺で、建築面積は250平方メートル。現在の所有者は住友林業、管理者は住友不動産。
住友活機園の所在地は滋賀県大津市田辺町10番14号で、京阪電気鉄道石山坂本線「石山寺」駅から徒歩5分。
特別公開日は2025年5月30日、31日の2日間で、時間は10時〜11時、13時〜14時、15時〜16時の3回。申し込みは、往復はがきで氏名、住所、電話番号、見学希望日時を記入して送付する。入園料は500円。見学可能人数は2日間で約200人を見込む。
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