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世界初の“木造”人工衛星と阪神・淡路大震災級に耐える木造建築が「ウッドデザイン賞2024」奨励賞:木造/木質化(2/2 ページ)
住友林業が手掛けた木造人工衛星「LignoSat」と、阪神・淡路大震災級の地震波にも耐える高い耐震性を証明した木造10階建て実寸大実験が「ウッドデザイン賞2024」奨励賞(審査委員長賞)を受賞した。
阪神・淡路大震災級の地震波にも耐える中高層木造建築
NHERI(Natural Hazards Engineering Research Infrastructure:米国災害工学研究インフラ) TallWood Projectは、高層木造建築物の耐震設計手法を検証するため、2023年米カリフォルニア州のカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で実施した10階建て木造ビルの実大振動台実験。
今回の受賞は米国で最初の実験後、住友林業の検証フェーズでオリジナルのポストテンション仕様に改修し、日本の建築基準法に基づく耐震基準での検証が対象となっている。実験の結果、阪神・淡路大震災級の大地震を含む、複数回の揺れに耐えるなど高い耐震性を証明し、中高層木造の耐震性能とポストテンション耐震技術が高いレジリエンス性能を持つことを実証した。
振動台実験では、構造躯体の木材にダメージが一切ないことを確認できたため、今後は構造設計者の木材利用の幅を広げることが期待される。
ウッドデザイン賞の広報では、「中高層木造建築の耐震性能検証を実践したプロジェクトで、海外での実証実験結果と国内の耐震基準への適合を研究している実績を高く評価した。具体的には耐震純木造10階建ての実験で、阪神大震災並みの地震波に対しても対応可能との結果が得られた」とコメントを寄せている。
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