AIとの会話だけで1mm単位の調整が可能な建築3Dモデル生成 「ACIMUS」β版2月リリース:AI
ACIMUSは、ChatGPTのような対話型生成AIを活用し、チャットだけで3D建築モデルをリアルタイムで生成するWebツールを開発している。生成AIとの会話だけで1ミリ単位の調整も可能で、建築基準に基づいた寸法も自動提案する。
ACIMUS(アキムス)は2025年2月、生成AIを活用した対話型3D建築デザインツール「ACIMUS(アキムス)」のβ版をリリースする。
生成AIで1ミリ単位で調整可能な3D建築モデルを作成
ACIMUSは、建築デザインに関わる全ての方々の設計やデザイン業務の効率化を目標に開発する対話型建築3Dデザインツール。生成AIによる自然な会話を介して、ユーザーの要望に応じた建築部材を生成しながら、リアルタイムに建築3Dモデルをイチから詳細にデザインできる。
3DCADやBIMソフトウェアのように複雑な操作は不要で、生成AIとのチャットでの対話だけで誰でも直感的に3D建築モデルのデザインが可能になる。
ACIMUSの生成AIは、ユーザーがチャットで入力した要望に基づき、柱や壁、床といった建物の構成要素だけでなく、カーテンウォールや階段、手摺りなども含む多様な建築要素を生成する。一度に全体を生成する単純な画像生成や3Dモデル生成AIとは異なり、チャットによる対話を通じ、各要素のサイズを1ミリ単位で作成や変更、削除できる。そのため、細部までこだわった設計案の作成がリアルタイムで実現する。
生成AIモデルは、各建築要素での一般的な寸法や建築基準法の規定を学習している。ユーザーは細かい寸法を逐一指示する必要はなく、生成AIが最適な寸法を提案。ユーザーは必要に応じて変更したい箇所のみを指示するだけで、設計やデザインを効率的に進められる。
ACIMUS上では椅子や机、ソファなどのさまざまな家具や建具、インテリアも備え、3Dモデル内で自由に配置できる。建物の骨組みだけでなく、細部にわたるインテリアや空間のデザイン検討が可能になる。
正式版ではACIMUSで作成した3D建築モデルを3DCADやBIM、2DCADの図面形式への出力にも対応。ACIMUS上で素早くデザインしたベースとなる3Dモデルを既存ソフトウェアに取り込み、さらに詳細な調整や高度な編集が可能になる。
ACIMUSは2025年2月のβ版リリースを目標に開発を進めており、事前に無料のトライアルユーザーを募集している。利用期間は14日間で1社につき最大5人まで。
また、家具や建具、設備などのメーカーを対象にスポンサープログラムも募っている。ACIMUS内には、建築3Dモデルをデザインする過程で、メーカー製品をACIMUSユーザーが利用して詳細に建築モデルをデザインできる仕組みを提供する。メーカーにとっては、ACIMUS内のラインアップに自社製品を追加することで、直接知ってもらう機会にも成り得る。
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