RC構造物を通電加熱で脆弱化、解体時間を4割削減 戸田建設が「マスホット工法」を試験適用:新工法
戸田建設とNF千代田エレクトロニクスは、解体前のRC構造物を通電加熱により脆弱化させる技術「マスホット工法」を、道路橋の床版取替工事に試験適用した。
戸田建設は2024年12月18日、NF千代田エレクトロニクスと共同で、解体前のRC構造物を通電加熱により脆弱化させる技術「マスホット工法」を道路橋の床版取替工事に試験適用したと発表した。
今回マスホット工法を、北海道札幌市の「道央自動車道千歳川大橋(下り線)床版取替工事」において、合成桁のRC構造物撤去作業に適用した。構造物のサイズは4880(長さ)×450(高さ)×310(幅)ミリ。在来工法と比較して、解体時間を約90分(40%)短縮した。
マスホット工法は、床版取替工事で鋼桁とスラブの接合部分の解体作業に適用する。鉄筋に直流電流を流して加熱し、ひび割れを発生させてコンクリートとの付着強度を低下することで解体作業を容易にする技術だ。
解体で使用するハンドブレーカーの稼働時間を短縮し、作業員の身体的負担を軽減できる。また、作業時間の短縮によって騒音や振動、粉塵(じん)の発生時間が減少するため、作業環境の改善と周辺住民への影響の低減にもつながる。鋼桁への熱影響について実験した結果、躯体温度は200度未満で、構造への影響はないことを確認した。
国内では、高度経済成長期に整備された社会インフラの老朽化が進んでいる。大規模な更新工事の需要が見込まれる一方、建設業は深刻な人手不足に直面しており、生産性を向上させる施工法が求められている。
戸田建設は今後、マスホット工法の実施計画や準備などについて改善を進め、老朽化した道路橋の更新工事に積極的に展開していく予定だ。マスコンクリートの解体技術として、マスホット工法以外にもマスカットH工法なども活用し、解体工事の生産性向上と環境負荷低減の両立を目指す。
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