気象/地震情報をクラウド上で一元管理、大和ハウス工業が災害モニタリングシステム開発:FM
大和ハウス工業は、気象や地震の情報を一元管理できる総合災害モニタリングシステムを開発した。地震発生時には1分程度で推定被害状況が取得でき、災害発生時の効率的な補修点検や業務の速やかな再開に貢献する。
大和ハウス工業は2024年12月5日、気象や地震の情報を一元管理できる総合災害モニタリングシステム「DoKo-moni(ドコモニ)」を開発したと発表した。2023年3月からは、保有する物流施設「DPLつくば中央」と「DPL浦安III」で試験運用を実施。2024年12月2日から、物流施設や事務所、店舗などの建築を検討する企業への提案を開始している。
地震発生から約1分後に、推定される被害程度を表示
DoKo-moniは、ナレッジフォーサイトのリアルタイムモニタリング技術を活用し、気象や地震に関する最大6種類のデータ(気温、湿度、風速、雨量、加速度、映像)をリアルタイムで確認。気温や湿度に基づく熱中症対策や強風、豪雨対策に役立てられる。
地震発生時には、加速度センサーで検知した揺れの大きさに基づき、建物躯体や二次部材(外装、間仕切り壁、天井、設備機器)の被害程度を推定。地震発生から1分程度でシステム画面に表示する。施設管理者は、加速度を基にシステムが算出した震度と各階の推定被害状況を踏まえた迅速な建物点検が行える。また、計測/推定した地震の時刻歴波形や層間変位量などの技術者向けの情報を利用することで、詳細なデータに基づく建物の構造解析なども可能だ。
各種データの中でも建物への影響が大きい風速、雨量、震度については、被害の恐れがある場合、事前に登録したメール宛にアラートを発信する。アラートの指定値は施設の仕様や立地などに応じてカスタマイズできる。
複数の建物のモニタリング情報はクラウド上で一括管理する。管理画面では各施設の情報を一目で判別できるように、各建物で計測されたデータの数値に応じてマップピンを色分けして表示。自然災害の発生時に、点検優先順位の設定などに役立てられる。
今後は、建物への大きな被害が懸念される雷やひょうなどのモニタリング情報もシステムに順次追加する予定だ。
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