大和ハウス、AIで物流施設の荷待ち/荷役時間を可視化 2025年春以降に本格導入:FM
大和ハウス工業とキヤノンマーケティングジャパンは、物流施設でトラックドライバーの荷待ちや荷役時間を可視化し、改善するシステムの実証を開始する。2025年4月以降に、マルチテナント型物流施設のブランドのDPLシリーズへの本格導入を目指す。
大和ハウス工業は2024年9月9日、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)と共同で、物流施設でのトラックドライバーの荷待ちや荷役時間を可視化し、改善するシステムを開発したと発表した。2024年11月1日から、大和ハウス工業が開発した神奈川県平塚市にあるマルチテナント型物流施設「DPL平塚」で、システムの効果を検証するための実証実験を開始した。2025年4月以降にDPLシリーズへの本格導入を目指す。
カメラ映像に映ったトラックを自動検知、AIが行動を分析
両社が開発したシステムは、カメラの映像から物流事業者ごとにトラックを自動検知し、入場からバース(荷待ちトラックの待機場所)への移動や荷役作業、退場までの記録を自動で把握し、蓄積する。
撮影した映像は、キヤノンMJグループ独自の解析技術を活用し、AIがドライバーの行動を分析して荷待ちや荷役の時間を計測する。動作結果の分析を通じて、作業の課題を明らかにし、荷主事業者やテナント企業の物流効率化に向けた改善を支援する。
両社は新システムにより、単に荷物を保管する建物ではなく、物流業務の効率化に資する役割と機能を持つ施設を目指す。
全国で332棟の物流施設を開発、トラック入退システムの導入も
大和ハウス工業は、全国各地で、特定のユーザー専用のBTS(Build To Suit)型物流施設と、複数の企業テナントが入居できるマルチテナント型物流施設を開発し、累計件数は332棟、総延べ床面積は約1295万平方メートルに及ぶ。2018年からは、大和ハウス工業が開発する物流施設で、トラックの入場予約システム、オンラインチェックインシステムを導入するなど、荷主事業者やテナント企業向けに、物流の効率化、自動化に向けた支援を行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 産業動向:大和ハウスの非住宅再生ブランド「BIZ Livness」本格始動 2026年度に売上高4000億円
大和ハウス工業は、老朽化が進む非住宅分野のオフィスや工場、医療施設、商業施設などの再生需要に応えるべく、新たな事業ブランド「BIZ Livness」を本格始動させた。グループ内4社の総合力で、自社施工物件だけでなく、他社施工も含め、建て替えやリノベーション、買い取り再販、ZEB化などで、2026年度に売上高4000億円を目指す。 - 産業動向:災害時に約189万戸の賃貸住宅を無償貸与 競合する大和ハウスと大東建託が災害支援協定を結んだ意義
大和ハウス工業と大東建託の両グループ企業は、互いに保有している賃貸物件の情報を共有し、災害時に連携して支援にあたる協定を締結した。両社グループが管理する計約189万戸の賃貸住宅を生かし、被災した賃貸住宅のオーナーと入居者に無償で貸し出す他、備蓄品の提供、復旧用資材の配給など、さまざまな角度から支援していく。さらに平時でも、防災に関する講習会を全国各地で随時開催するなど手を携える。 - ロジスティクス:大和ハウスとJR貨物が千葉市美浜区に物流施設を新設 淺沼組の設計・施工で4月着工
大和ハウス工業とJR貨物は、千葉県千葉市美浜区で大型マルチテナント型物流施設「DPL千葉レールゲート」を新設する。 - ロジスティクス:熊本県益城町に“シリコンヒルズ”が誕生 大和ハウスが110億円で工業団地を開発
大和ハウス工業は、約110億円を投じ、熊本県益城町に工業団地「DPI(ディープロジェクトインダストリー)シリコンヒルズ熊本」を開発する。現在、造成工事を進めており、2024年5月に完了した後、積極的に企業誘致を行い、2027年冬に全施設の完成を見込む。 - プロジェクト:つくば自動車研の土地を大和ハウスが取得 東京ドーム約3.3個分にスーパーサイエンスシティー
大和ハウス工業は、つくば自動車研究所の未利用地を取得した。東京ドーム約3.3個分の広さに、分譲マンションや教育施設、商業施設などを建設する大規模プロジェクトが始動する。 - 「守りのDX」と「攻めのDX」:大和ハウスDX戦略の全体像2023年版 設計BIM100%で「導入期」から「活用期」へ
大和ハウス工業は、2022年度から5カ年度の中期経営計画で、守りのDXで持続的成長モデルの構築を掲げている。その中核を成すBIMは、既に設計で全件BIM化を達成し、これまでの導入期から、共通データ環境に蓄積するBIMデータを建材データベースやxRなどで、いかに利活用するかの活用期へと移行している。