空き家をコンパクトオフィスに ハタスが“負動産”の活路を見出す新事業開始:空き家問題
ハタスは、スタートアップやスモールビジネス向けのコンパクトオフィス「Petit Bureau」を販売開始した。売るに売れず維持管理にも費用が掛かり、所有しているだけで負の財産となってしまう空き家や空き地などの負動産を、スモールビジネスに適した事務所に再活用する新事業だ。
ハタスは2024年10月29日、スタートアップ、スモールビジネス向けのコンパクトオフィスの事業商品「Petit Bureau(プチ・ビューロ)」を同月1日から販売開始すると発表した。
受け継いだ土地活用で、売却以外の新たな選択肢を提案
ハタスは、「祖父母が以前に住んでいた家」や「相続に伴い実家を取得したが使っていない空き家」に着目した。いかにして収益性が見込める土地活用があるかを考え、Petit Bureauを企画した。
その中で独立やフリーランスで働く人が増え、第三次産業が年々増加していることと、コロナ以降多くの企業がテレワークが進み、小さな事務所や都心ではない地域オフィスの需要が高くなっている状況を考慮した。そこで低予算で始めやすいスタートアップやスモールビジネスに適したコンパクトオフィスに有効活用することで、社会問題となっている空き家の画期的な解決方法となることを見出した。
Petit Bureauはスタートアップや起業家と、空き家や狭小地の所有者とのマッチングを図り、小スペースにスモールビジネスに適した事務所を複数建築するビジネスモデルだ。約40坪の土地であれば2戸の建築が可能で、都市部の狭い土地にも対応し、土地サイズに合わせ戸数を自由に組める。
建物は2階建てで1階は来客用スペース、2階は事務所として活用する。住居用ではないため設備が少なく、建築費を比較的抑えられるメリットがある。外観は町の景観に合わせ、事務所ではない住宅のような穏やかなイメージ。事務所や営業所だけでなく、学習塾やパーソナルジム、軽作業所、エステサロン、ネイルサロン、整体院、接骨院にも適する。
収益性は戸建ての賃貸1戸として利用する場合と比較すると、収益性の向上が期待される。建築費が高騰する中で、住居用ではないため設備が少なく構造もシンプルのため、建築費を抑えられる。さらに空き地や更地、空き家の利活用による経済活動の創出が見込めるため、地方創生の推進に貢献する。
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