グループ内で再エネ由来水素を運搬/融通、大成建設がBCP対策で実証:脱炭素
大成建設は、グループ工場で製造した再エネ由来のグリーン水素を大成建設技術センターに搬送し、燃料電池用いて施設全体へ電力を供給する実証を行った。
大成建設は2024年11月1日、大規模災害訓練の一環として、グループ内で再生可能エネルギー由来のグリーン水素を搬送、融通する実証を行った。実証では大成ユーレック川越工場で製造したグリーン水素を大成建設技術センターに運び、燃料電池を用いて電力に変換し、施設全体に融通した。
実証で使用した水素は、現在実証運転を進めている「P2Gシステム/水素利活用システム」で製造した。P2Gシステム/水素利活用システムは、NEDOの助成を受けて、山梨県、東レ、東京電力エナジーパートナーが開発した500kWワンパック固体高分子(PEM)形の小型パッケージシステム。再エネ由来の余剰電力を活用して水素を製造する。川越工場に設置した装置はその1号機で、2024年8月から運用を開始している。
今回の実証は、水素を利用する事業所などの拠点間におけるエネルギー融通を模擬的に行うもの。P2Gシステム/水素利活用システムで製造したグリーン水素を、水素吸蔵合金タンク(1台当たり容量100ノルマル立方メートル)に低圧貯蔵し、計3台あるタンクのうち搬送可能な1台を大成建設の技術センターに移送した。移送後は水素を燃料電池に使用し、電力変換できることを確認した。
実証の結果から、近隣区域内の工場や事業所など、拠点間における水素搬送の効率化や取扱量の増加を進めることで、非常時に有効活用が期待できるとした。
水素燃料の実用化に向けては、大成建設は2018年度から2021年度まで、北海道室蘭市において、環境省の「地域連携・低炭素水素技術実証事業 建物及び街区における水素利用普及を目指した低圧水素配送システム実証事業」の一環として、車載式水素吸蔵合金タンクを用いて事業所などに配送する実証を行った。
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