AIで倒木の恐れがある“危険木”を診断、三井住友建設が樹木管理支援を事業化へ:AI
三井住友建設は、AIを活用した樹木診断システム「tree AI」の開発に着手した。従来は樹木医などの専門家が目視で行っていた初期診断をAIによる画像解析で実施し、倒木や落枝などの恐れがある危険木を簡易にスクリーニングする。システムの実用化に向けて、茨城県内で、街路樹を対象とした実証実験を開始した。
三井住友建設は2024年11月11日、AIを活用した樹木診断システム「tree AI(ツリーアイ)」の開発に着手したと発表した。従来は樹木医などの専門家が目視で行っていた初期診断をAIによる画像解析で実施し、倒木や落枝などの恐れがある危険木を簡易にスクリーニングする。
システムの実用化に向けて、三井住友建設は茨城県の協力のもと、県内の街路樹を対象とした実証実験を開始した。実験ではAIによる診断結果と専門家による目視診断の結果を比較し、システムの精度や有効性を検証する。この結果に基づき、診断精度の向上やより実用的なシステムの開発を進め、樹木管理支援事業の早期事業化を目指す。
初期診断にAIを活用、樹木医はより専門性の高い精密診断に注力
tree AIによる樹木管理では、まず、カメラで撮影した樹木画像をAIが解析/診断し、危険木をスクリーニングする。危険木と判定された樹木は樹木医が精密診断を実施。必要に応じて、剪定(せんてい)や伐採などの処置を行う。さらに、デジタル管理台帳で樹木の位置情報や、過去の診断履歴、管理記録などの情報をリアルタイムに一元化。これにより正確なデータに基づいた最適な管理計画を立案できる。
作業量が多い初期診断をAIが補助することで、専門知識がない人でも危険木の選別が可能になる。これにより、樹木医は専門性の高い精密診断に注力できる。限られた維持管理予算や工数の中で、より効率的な樹木診断と危険木の早期発見を実現し、倒木などの事故防止につなげる。
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