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高速道路高架の床版更新工法「グラビングエレクター工法」を開発、清水建設:新工法
清水建設と岐阜工業は共同で、高速道路高架の床版更新工法「グラビングエレクター工法」を開発した。自走式の床版更新装置1台を用いて老朽化した高架橋床版をはく離撤去し、新設床版を架設するものとなっている。
清水建設は2024年9月、岐阜工業と共同で、高速道路高架の床版更新工法「グラビングエレクター工法」を開発したと発表した。
新工法は、自走式の床版更新装置1台を用いて老朽化した高架橋床版をはく離撤去し、新設床版を架設する。
床版更新装置は、H型鋼製のフレーム部と床版把持機構からなる。フレーム部は長さ19メートルの走行フレーム2本、同フレーム端部を連結する4メートルの横架材2本、伸縮や走行機能を備えた高さ4メートルの脚柱6本で構成。床版把持機構は、走行フレーム上を走行する駆動部(把持台車)と駆動部から床版面に伸びる把持装置で構成されており、把持装置は床版の架設装置と着脱式のはく離装置から構成される。
新設床版の大きさは、おおむね1枚当たり幅5〜6メートル、奥行き2〜2.5メートル、重量8〜10トン。床版更新装置は、新設床版5枚分の架設場所を覆うように設置される。あらかじめ切断した既設床版の部材をはく離撤去した後、新設床版を計5枚架設して次の作業場所に移動する。
装置は、道路走行方向に対して前後左右に移動できる。把持装置は3次元で姿勢制御されており、把持している床版の荷ブレを防止。人手を介さずに床版架設時を細かく位置合わせできる。
新工法による床版の更新枚数は1日あたり5枚を予定。今後は、高速道路高架橋の床版更新工事で適用を進める。
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