1万m2超の総合病院で国内最高クラスの省エネ性能を実現、新小田原市立病院が「ZEB Ready」認証取得:ZEB
神奈川県小田原市で2026年春に竣工予定の総合病院「小田原市立病院」が、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で「ZEB Ready」認証を取得した。施工を手掛ける竹中工務店によると、1万平方メートル超の総合病院では国内最高の省エネ性能となる。
竹中工務店は2024年10月17日、神奈川県小田原市で2026年春に竣工予定の総合病院「小田原市立病院」が、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)で「ZEB Ready」認証を取得したと発表した。国内同規模の標準的な病院と比較して、一次エネルギーの年間消費量を57%削減する。竹中工務店によれば、1万平方メートル超の総合病院では国内最高の省エネ性能となる。
現在の小田原市立病院は全面改築から40年以上が経過し、設備面の老朽化が顕著になるとともに、病室1床当たりの面積が医療法施行規則の基準を下回っていることから、早急な対応が求められていた。そこで、2026年春の開院を目指し、2023年12月から現在の病院の隣接地で新病院の建設を進めている。
新病院は、S造地上9階建て、延べ床面積は約4万2000平方メートル。設計は竹中工務店・内藤建築事務所設計JV、施工は竹中工務店が手掛ける。小田原市が国と推進する「脱炭素先行事業」の中核施設にも位置付けられており、病院に合致した省エネ効果の高い64項目の設計手法や技術を採用することで、国内最高レベルの省エネ性能を備えた。ZEB Readyの他、「CASBEEかながわ」でもSランクを達成している。
ZEB達成が困難とされる病院で省エネに取り組む
病院はZEB達成が困難とされる建物の1つだ。竹中工務店では総合病院の特性を分析し、(1)外気負荷が大きい、(2)廃熱が多く年中冷温熱が必要、(3)大容量の設備システムに伴い低い運転効率になることの3点に焦点を当て、この課題に特化した省エネ技術を取り入れ、約30%の消費エネルギー削減を実現した。
具体的には、「夜間モード」への切り替えによる病室の換気量の低減や共用部のCO2センサーなどによる換気量制御、水熱源ヒートポンプ、熱回収ヒートポンプによる空調の廃熱利用、運用に則した空調や換気の設備容量の設定など、各種省エネ技術や設計上の工夫を展開している。
これに加え、屋上緑化やLow-Eペアガラスの採用、日射遮蔽(しゃへい)による外皮負荷の低減、高効率の空調機器や照明の採用による省エネルギー化を図った。さらに、マイクロコジェネや太陽光発電による創エネルギーも取り組むことで、合計57%の削減を実現した。
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