Lib Workの3Dプリンタ住宅、2025年に一般販売へ 建築基準法に適合した住宅として認定:デジタルファブリケーション
Lib Workは土を主原料とした3Dプリンタ住宅のモデルハウス「Lib Earth House “modelA”」について、都市計画区域内で建築確認申請を行い、建築確認済証を取得した。
注文住宅メーカーのLib Work(リブワーク)は2024年8月6日、土を主原料とした独自の3Dプリンタ住宅のモデルハウス「Lib Earth House “modelA”」が、建築基準法に適合した住宅として正式に認定されたと発表した。今回、都市計画区域内で建築確認申請を行い、建築確認済証を取得した。
Lib Workは2024年度中に、LDKやトイレ、風呂、居室などを設けた約100平方メートルのモデルハウスを完成させる計画で、2025年の一般販売開始を目指す。今後は3Dプリンティング技術を軸に、3Dプリンタハウス事業を全国のハウスメーカーや工務店へフランチャイズ展開していく。
モデルハウスは、地上1階建て、高さ約3.2メートル、延べ床面積は約15平方メートル。建築物を支える主架構(しゅかこう)は集成材によるラーメン構造で、主架構の周囲に3Dプリンティングによる土壁を設置している。土壁は主架構と構造的に分離し、自立した外装材となっている。こうした建物はこれまで前例がなく、Lib Workが国交省を含む行政と協議した結果、3Dプリンティングによる土壁が外装材として法的に問題ないという判断が得られた。
なお、モデルハウスの工期は、3Dプリンティングに2週間(延べ72時間)、木工時に2週間、その他の工事を合わせて合計3カ月。3Dプリンティングの材料は土が約75%を占め、結合剤に石灰やセメント、繊維材にわら、骨材にもみ殻をそれぞれ混ぜ合わせたものを使用する。IoT建具も導入しており、玄関ドアには顔認証で開閉する自動ドアを採用した。
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