検索
ニュース

地質評価AIとCIMを実装したデジタルツインアプリ「GeOrchestra」を開発、安藤ハザマ製品動向

安藤ハザマと日特建設は共同で、地質評価AIとCIMを実装したデジタルツインアプリケーション「GeOrchestra」を開発した。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 安藤ハザマは2024年10月3日、日特建設と共同で、「地質評価AI」とCIMを実装したデジタルツインアプリケーション「GeOrchestra(ジオケストラ)」を開発したと発表した。

 GeOrchestraは、地盤を削孔/掘削する際に得られる排出スライムや施工速度、回転トルク、給進力などの逐次施工情報から不可視領域の地質分類を推論するAIと設計CIMを統合し、Web上の3次元空間で地質分類や施工情報を可視化する。

 削孔に応じて排出されるスライムをもとに、AIが地質を解析評価し、現場全体のCIMモデル内に削孔位置の地質区分を3次元データ化。地中の不可視地質構造を関係者間で共有できる。専門技術者と同程度の精度で評価した地質分類や逐次施工情報を、360度自由な視点で複数ユーザー間で共有することで確実な施工を実現するとともに、コミュニケーション支援ツールとして活用し施工性を向上させる。

「GeOrchestra」のシステム概要
「GeOrchestra」のシステム概要 出典:安藤ハザマプレスリリース

AI活用により、解析評価が数秒で完了

 解析評価にかかる時間は数秒程度で、解析から地質評価、評価結果による3次元モデルの作成、モデリング情報の逐次更新までの一連の作業はクラウド上で全て自動で行われる。3次元モデルの空間情報は、ユーザーが任意に設定した時間間隔で自動的に更新。削孔速度やトルク、給進力、送水圧など地盤の削孔機械情報も施工進捗に応じて自動的に反映する。

 現場単位で設定したユーザーアカウントとパスワードを関係者間で共有し、指定のURLへアクセスすれば、任意の視点から施工情報を確認できる。PCやタブレット、スマホなどのデバイスでの操作も可能だ。

削孔データ取得からデジタルツインの更新までのプロセス
削孔データ取得からデジタルツインの更新までのプロセス 出典:安藤ハザマプレスリリース

グラウンドアンカー工事に適用し、効果を確認

 両社は、グラウンドアンカーによる地すべり対策を目的とした国土交通省近畿地方整備局発注の「高原トンネル上部斜面対策工事」でGeOrchestraを適用した。

 先行施工の地質評価結果をCIMにより3Dで視覚化することで、孔曲がりが発生する遷移領域を予見し、孔曲がりのリスク回避につながった。また、不可視の施工地盤内の地質を専門技術者と同程度の精度で評価し、現場判断を効率化した。さらに、現場関係者は、GeOrchestra通じて精度の高いコミュニケーションを実現し、最新情報に基づく最適な進捗管理や施工計画に沿った運用を実践できたとしている。

 今後は、杭工事や地盤改良工事、トンネルの先行ボーリングなど、削孔/掘削を伴う不可視地盤に対する事前の施工管理への活用や展開を目指す。

「GeOrchestra」のデジタルツイン画面
「GeOrchestra」のデジタルツイン画面 出典:安藤ハザマプレスリリース

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る