骨材を袋状に包み、吊り下げて搬送 新丸山ダム建設工事向けに古河産機システムズが受注:導入事例
古河産機システムズは、大林・大本・市川特定建設工事共同企業体から、岐阜県の新丸山ダム建設工事で使用する骨材搬送用ベルトコンベヤーとして密閉式吊下げ型コンベヤー「SICON」を受注したと発表した。2025年1月末の工事完了を予定している。
古河機械金属は2024年9月13日、グループで産業機械部門を担う古河産機システムズが、大林・大本・市川特定建設工事共同企業体から、岐阜県加茂郡八百津町の新丸山ダム建設工事で使用する骨材搬送用ベルトコンベヤーとして密閉式吊下げ型コンベヤー「SICON(ジーコン)」2ライン(合計全長約76メートル)を受注したと発表した。2025年1月末の工事完了を予定している。
搬送物を袋状に包み粉じんや騒音を抑制
新丸山ダム建設工事で使用する骨材は、製造設備で破砕/貯蔵した後に、搬送用コンベヤーの入口まで運搬し、骨材調整ビンを経由してコンクリートを製造するバッチャープラントに運搬する計画だ。骨材の搬送に一般的な平ベルトコンベヤーを使用すると、乗り継ぎ部で騒音や振動が発生する。搬送ルートの近隣に住宅があることから、この騒音/振動対策が課題となっていた。
SICONは、土砂などの搬送物を袋状に包み込んでモノレールのように吊り下げて搬送するコンベヤーだ。荷こぼれや粉じん、騒音などを抑制して搬送物を落とさず静かに運べる他、乗り継ぎ部を設置せずに搬送ラインの方向を自由な角度に変えられる。現場の状況に合わせた搬送ラインを実現できるとして、今回、住宅街付近の骨材搬送用に採用が決定した。なお、骨材搬送用ベルトコンベヤーは、平ベルトコンベヤーとSICONを組み合わせて使用する。
今回受注したSICONの機器仕様は、搬送量1時間当たり750トン、速度は分速230メートル。2カ所のうち、「BBC-10」(前設備受け渡しから調整ビンの区間)は長さ約389メートル、揚程16.6メートル、「BBC-13」(調整ビンからバッチャープラントの区間)は長さ約379メートル、揚程28.3メートル。
骨材の破砕製造設備では、二次破砕機/三次破砕機として古河産機システムズのコーンクラッシャ「GEOPUS C3」を4台、振動スクリーンを3台納入した。ベルトコンベヤーなどを扱うコントラクタ本部と、破砕機などを扱うマテリアル機械本部において以前から進めてきた部門横断的取り組みを実践している。
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